研究課題/領域番号 |
22K04029
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
|
研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
三上 貞芳 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (50229655)
|
研究分担者 |
浜 克己 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 特命教授 (00180927)
中村 尚彦 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 准教授 (30435383)
古館 裕大 公益社団法人函館市医師会函館市医師会看護・リハビリテーション学院(生体医工学研究センター), 生体医工学研究センター, 研究員 (90900209)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 粒子ジャミング / ロボットハンド / 脚ロボット / 把持機構 / 不整地移動 |
研究開始時の研究の概要 |
ロボットにより不定形物体を把持する新たな方法として,本課題では,剛体リンクのみで構成された形状が,受動外圧により構造同士がかみあうことで,その形を保つようにロック(固形化)するような,新たな頑強なJammingの仕組みによる把持機構を提案する.その具体的形状,把持力等の仕様を満たす設計方法,さらにロボットへの無介入で装着できる特性を生かし,雪上移動多脚ロボット,受動的包み込み力発生ハンド等の新たな応用を明らかにする.
|
研究実績の概要 |
本研究は,剛体リンクのみで構成された形状が,受動外圧により構造同士がかみあうことで,その形を保つようにロック(固形化)するような,新たな頑強なJammingの仕組みによる把持機構を提案するもので,研究2年目は以下の成果を得た 1. プッシュクローズ型(一か所を押すことで全体が閉じる方向に変形しロックする)の機構として提案している柔軟板材の折り込みによる包み込みロボットハンドについて,把持力の伝達メカニズムを明らかにすることができ,把持対象に適した設計パラメータを明らかにできるめどが立った(学会発表・高橋). 2. プッシュオープン型(一か所を押すことで全体が包み込むように構造展開しロックする)の機構として提案している多脚ロボットの柔軟路面移動のための浮力維持足部受動機構について,前年度に特定角でのロック機構と足部先端の円筒形状による雪上及び泥濘地両方に適用可能な機構を明らかに出来たが,今年度は着地から足部ロックまでの力の伝達を解明し,さらに脚振り上げにともなう足部ロック解除の際に泥濘地での粘性による筐体全体の引き込み力が,提案した形状で軽減される仕組みについても解明できた(国際会議・Yoshimoto). 3. プッシュロック型(体積の縮小で可動小片が互いに入り込みロックする)については,プッシュロックの原理による雪の硬化を効果的に実現するような雪上移動機の車輪機構の研究を進め,前年度までに明らかにした谷型のスクリュー車輪の改良により,硬化した雪をクローラ面下部に移送する仕組みを考案し,より安定して歩行を可能とする設計を提案できた(学会発表・藤内).さらにプッシュロックによる雪の硬化の現象を常温下で再現するような「疑似雪」を見出す研究を進め,適切な加水量での重曹粒子.従来の硬度に加えて粘性抵抗でも類似した特性を持つ疑似雪として利用できることを明らかにした(学会発表・隅田).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は多数の剛体リンクなどに力を加えることで生じるジャミングにより,さまざまな対象を把持するような機構を提案するものであり,原理として3つの剛体リンクのジャミング方式を提案している.これは,加えられる力から「受動的に構造が対象物を把持するようにロックする」という考え方である.当初想定していた応用は,自然な考え方として脚ロボット等の自重により不整地や斜面を把持するような,移動をサポートする「靴」だが,本研究の目的の一つは,このような仕組みがより多くのロボット応用に適用できることと,その具体的な機構を明らかにすることである.前年度には(1)雪上移動を対象とした車輪,(2)板材を用いた柔軟把持ハンド.(3)脚ロボットへの沈み込み抑止受動足,という新たな3つの方向性を見出すことができた.今期は,前年度の方針として挙げた,なぜ期待した機能が実現できているかという原理の解明について,主として静力学の面から明らかにすることができ.期待する性能に対する設計パラメータの導出の目途が得られてきている.これら成果は国内外の学会にて好評を行うことができた.よって研究は順調に進み,成果も得ることができていると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度では,リンクジャミングが効果的に利用できる対象について,その動作原理がある程度明らかになった.これを踏まえて今年度では,各対象について設計パラメータの導出を明らかにしてゆきたい. プッシュクローズ型の機構の研究については現在は板材短冊による柔軟端ハンドとして実現しているが,研究を進めるにつれて不定形物およびやわらかい対象への把持機構の重要性がわかってきたため,従来の弾性膜内の粒子の負圧によるジャミングハンドとは異なる,本研究の特徴である剛体リンクの受動ジャミングを生かした新たな把持機構を見出すように研究を推進してゆきたい. また不整地移動のためのロボット足部への応用の研究を進めるなかで,リンクジャミングとは逆に,リンクが常に柔軟に保持されるテンセグリティ機構について,そのロボット足部や車輪移動についての研究も同時に進めることとなった.本課題の推進がきっかけとなったこの研究については,本課題と並行して新たな研究テーマとして推進してゆくことを計画している.
|