研究課題/領域番号 |
22K04036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
入部 正継 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60469228)
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研究分担者 |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
大須賀 公一 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (50191937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 力学系間の接続 / 脚歩行ロボット / 設計論 / 受動的動歩行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ロボットなどの機械システムの制御動作も含めた系全体の最適設計に必要な「機構系の設計手法」を明らかにすることを目的とし,その中でも特に脚歩行ロボットについて「機構系の動的な特性を利用する」設計手法を明らかにする.その際に脚歩行動作の動的な特性を理解するために受動的動歩行の性質を利用する. 具体的には,受動的動歩行の特徴的な性質である「適応的なふるまい」と,それにより発現する「力学系の接続」を示す動力学シミュレーションを基にロボットの形状や自由度構成を決定し,実機の試作と実験を行う.これにより脚歩行ロボットの機構系が有する「動的な特性を利用する」ことが可能な機構系の設計論の実現を試みる.
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研究実績の概要 |
本研究では「機構系設計時に動的特性を陽に取り扱い,設計の規範とする機構系の設計手法」の実現を目的として,受動劇動歩行動作における「異なる力学系間の接続を利用することで歩行動作を保証する機構系の構造・構成の設計法」の確立に取り組んでいる. 従来の設計手法では力学系の接続を利用する際に,計算機シミュレーション環境で受動的動歩行中に試行錯誤的に機構系パラメータを変化させていたが,本研究では機構系パラメータ変化を理論的・定量的に決定する方法を明らかにするべく研究を進めた.また,従来の設計手法では,受動的動歩行での一周期の歩行動作が終了するまで機構系パラメータの変化の是非を判断することができなかったが,本研究ではパラメータ変化の規範としてI-ZMP(Imaginary Zero Moment Point)を採用し,歩行動作中のI-ZMPとその二階微分項を設計規範とすることで,歩行動作の周期毎ではなく動作中に歩行動作の是非の判断が可能となった.この手法を用いることで,歩行動作中の脚ロボットのパラメータ変化の是非を判断し,そのパラメータの精密な調整が行えるようになった.この評価規範を用いることにより,受動的動歩行が可能なコンパス型の脚歩行ロボットから膝関節が付加された脚ロボットの設計,および上体と腕の自由度が付加された脚ロボットの設計が可能となることを確認した. さらに得られた受動的動歩行ロボットのシミュレーションモデルを基に具体的な機構設計を行い試作を行った.現在はその試作機を用いて歩行動作の評価を行っており,2-3歩の歩行動作を確認している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,受動的動歩行のシミュレーションを行うための動力学シミュレーション環境をODE(Open Dynamics Engine)を用いて構築した.そしてその環境を用いて受動的動歩行のシミュレーションを行い,脚歩行ロボットのパラメータ変化による異なる力学系間の移動を実現し,さらにI-ZMPとその二階微分値を規範としたパラメータ遷移方法による脚ロボット設計法の妥当性を検証し,提案する手法の妥当性を示すことができた. 具体的には,コンパス型ロボットの設計仕様に従った寸法設計(同じ力学系内の移動),コンパス型ロボットに膝関節の自由度を付加した構造設計(異なる力学系への移動),脚歩行ロボットの腰関節を起点として上体自由度を付加する構造設計(さらに異なる力学系への移動)を行い,受動的動歩行が可能な種々の歩行ロボットの設計を実現した. これらに加え,本年度では得られたシミュレーションモデルのパラメータを使用して実際の歩行ロボットを試作し,歩行実験を行い,受動的動歩行の動作を行うことを確認することができた. また,本課題の最終目的である「機構系と制御系の同時設計」に必要となる制御入力設計法の基礎検討と,歩行動作の安定化方法の基礎検討を同時に行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション結果から導出したパラメータを基に試作した脚歩行ロボット(上体と腕が付いた人間型の脚ロボット)を用いて歩行実験を行い,その歩行動作を解析し,提案する設計法の妥当性を検証する. また,本研究課題の最終目的である「機構系と制御系の同時設計」に必要となる制御入力の設計法に関する研究と歩行動作の安定化に関する研究を並行して進める.
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