研究課題/領域番号 |
22K04040
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河辺 賢一 東京工業大学, 工学院, 助教 (60634061)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 電力システム / 電力変換器 / 蓄電池 / 再生可能エネルギー / 安定化制御 / グリッドフォーミングコンバータ / 周波数安定化 |
研究開始時の研究の概要 |
再生可能エネルギーの主力電源化が進んだ電力系統における電源事故時の周波数安定化対策として,Grid-Forming(GFM)型コンバータが提案されている。これまで提案されているGFM型コンバータの制御法は、主に蓄電装置の利用を前提としているのに対して、本研究では,蓄電装置をもたない再生可能エネルギーに適用可能なGFM型コンバータの制御法の開発を目指す。当該手法の開発によって再生可能エネルギーの出力制御が可能になれば,高コストな蓄電池の必要量を削減し,社会便益の向上に寄与すると期待される。
|
研究実績の概要 |
コンバータ(交流と直流の間の変換を行う装置)を介して電力系統に接続される再生可能エネルギー(再エネ)の導入が進み,火力発電等で用いられる同期発電機の運転台数が減少すると,電源事故時に周波数低下の速度や幅が大きくなることが懸念される。そこで本研究では,従来よりも高い周波数安定化効果が期待されるGrid-Forming(GFM)コンバータに着目し,蓄電池や再エネに適用可能なGFMコンバータの新たな制御法の開発に取り組んでいる。 当該年度は,蓄電池に適用可能なGFMコンバータの制御法を開発し,シミュレーションにより電源脱落時の出力指令値の与え方について検討した。電気学会EAST10モデルの同期発電機の5割をインバータ連系電源に置き換えた系統モデルを用い,いくつかの方法について比較した結果,周波数偏差(基準周波数からの差)および周波数変化率により周波数低下の予兆を捉え,平常時よりも大きなゲインを周波数偏差に乗じることで出力指令値を与える方法が,最も周波数安定化効果が高くなることを確認した。 また,本検討を通して,提案手法がGFMコンバータに固有の慣性応答特性(電力系統の周波数変化に対して出力を変化させる物理特性)をもつだけでなく,必要に応じて制御によって出力を変化させることが可能であることを確認した。この特徴により,提案法が蓄電池のコンバータだけでなく,限られたエネルギー源(風力発電の場合は回転体)しか持たない再エネのコンバータにも応用可能であると考えている。今後は,この特徴を生かして,風力発電のコンバータに適用するためのGFMコンバータの制御理論の開発を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたGFMコンバータの制御理論を開発し,シミュレーションによってその有効性を示すことができた。また,得られた結果を国内会議にて発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は蓄電池に適用可能なGFMコンバータの制御理論を開発したのに対して,今後は風力発電に適用可能な理論の開発に取り組む。風力発電の場合には,風車の回転数を入力として,これまで開発したコンバータの制御法における有効電力指令値を変更することで,コンバータの制御と風車の制御の協調を図る。理論開発に際しては,風車の力学的特性を考慮したモデル開発から検討を進める。
|