研究課題/領域番号 |
22K04042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
丹沢 徹 静岡大学, 工学部, 教授 (30805073)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | コルピッツ・オシレータ / LC共振器 / 昇圧 / IoT / 電力変換回路 / 極低電圧 / 昇圧回路 / オシレータ / モデリング / エネルギー・ハーベスト / 電力変換 |
研究開始時の研究の概要 |
農業・工業・商業の一層の効率化や高齢化・人口減少などの社会の変動に対応するために、あらゆるモノにセンサーと情報通信回路をつけて自律的に情報収集を行う「モノのインターネット(IoT)」に注目が集まっている。バッテリー・フリーでメンテナンス・フリーのため、多数のIoTエッジ端末には環境のエネルギーを電力に変換する発電素子とその電力をセンサー・RFチップの電力に変換する昇圧型電力変換回路が必要となる。自励発振型昇圧回路にパッシブ共振器を備えることで、出力電力密度を飛躍的に増加する回路の動作原理解明と従来に比べ出力電力密度を一桁増加することを実証して、IoTエッジ端末の普及に貢献する。
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研究実績の概要 |
今年度はまず、コルピッツ・オシレータ(ESCO)にLC共振器を接続して発振振幅を増加し昇圧能力を高めたmESCO回路の動作実証を目的とすることとした。昨年度の試作結果を踏まえ、発振周波数を一桁落として300 MHz程度として回路を試作した。インダクタ単体のサイズは上限を0.7 X 0.7 mm2として10 nH程度に抑え、キャパシタは数10 pFに増やしたものの回路サイズはほぼインダクタで決定できた。トランジスタのしきい電圧は0.3 V程度であるため、負性抵抗を提供するNMOSトランジスタのゲート端子(VGを印加)はインダクタに接続する端子(VINを印加)とは独立にして、ゲート電圧を独立に振れるようにした。これで仮想的にしきい電圧を振ることができる(例えばVGをVINより0.2 V上げると仮想的にしきい電圧を0.2 V下げたとみなせる)。VG=VDDのとき昇圧比2.5をVDD=0.3 Vまで確認できた。VGを0.5 Vに固定してVINを下げると、0.2Vでも昇圧を確認した。また、昨年度最適化を検討した「集積化LC発振回路駆動の多段チャージポンプ昇圧回路」を試作し、最適化方法の実機検証を行った。試作シリコン面積の制約から、昇圧回路並列数が4と8の計二つの回路を搭載した。サイズ2 mm2の回路で、入力電圧0.5Vから2 Vに昇圧するときの出力電力が並列数4と8でそれぞれ40μW, 100 μW程度であることを確認し、最適化方法の妥当性を確認した。SPICEシミュレーションによれば、昇圧能力のインダクタの直列寄生抵抗依存性が大きい。発振周波数におけるインダクタのQ値を高くする設計方法が重要であるようだ。インダクタと多段チャージポンプ昇圧回路の全体で出力電力密度を増やす設計方法を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実機で初めて原理実証を達成した。入力電圧0.2 V以上で昇圧を確認した。測定結果は回路シミュレーショと良い一致をみた。
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今後の研究の推進方策 |
高周波化で昇圧出力電流の増加を目指す。出力電力密度を指標に性能向上のための回路設計を検討する。
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