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局所放電光と電界測定によるパールチェーン型トリー進展機構の定量的理解に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K04046
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分21010:電力工学関連
研究機関愛媛大学

研究代表者

井堀 春生  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70249861)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワード電気トリー / 部分放電 / 放電発光 / シリコーンゲル / パールチェーン型トリー
研究開始時の研究の概要

電力機器の信頼性向上は電力の安定供給のため不可欠であり、これらの要望に応えるため、各種絶縁材料の絶縁劣化機構を解明することはきわめて重要な課題であるが、いまだ未解決な部分が多い。
我々は現在、シリコーンゲル中に発生するパールチェーン型電気トリーに関する研究をおこなっている。本課題では、これまで定性的な評価が主であったトリーの進展に、放電発光、電界強度の実測、試料の化学的分析をもとに、定量的な理解を与えることを目的とする。将来的には、パールチェーン型トリーの進展機構と液体および固体中の高電界現象との関連について言及することで、新たな絶縁設計のための指針を社会に提案することを最終目的とする。

研究実績の概要

1.局所放電発光の観察は完全暗室状態にて実施する必要があるが、この場合、発光とトリーの進展を同時に観察することは不可能である。そこで本年度は、トリーの進展と発光観察を同時におこなうことを試みた。トリーの進展がギリギリ観察できる程度の明るさの中で実験をおこなうことで、トリーの進展と(比較的発光量の大きい)発光を同時に観察することに成功し、トリーの進展と放電発光の関係をmsオーダーで解析することが可能となった。発光回数とトリーの進展距離との間にはある程度の相関がみられるが、発光回数が少なくても進展距離の大きい枝も存在した。1 回の発光量が大きいほうが進展に寄与することは明らかであるが、発光量が大きい放電によって直ちにトリーが進展するとは限らないことが明らかとなった。このことは試料がゲル状であることに起因している可能性もあり、次年度の検討課題の1つである。
2.1000fpsでトリーの観察や発光の観察をおこなっていることから、画像の確認、解析には相応の時間を要する。そこでトリー画像・発光画像の分類に機械学習を用いることを検討した。クラスタリングのkの値を増やすことで我々の思惑とは異なる分類がなされたが、発光量と進展距離、発光回数と各トリーの対向電極との距離の関係を検討するきっかけが与えられた。汎用的な機械学習を用いて客観的に分類された結果の意味を検討することで、新たな知見が得られる可能性を示すことができた。
3.FTIRを用いたシリコーンゲルの分析をもとに架橋度を評価し、架橋度によるトリーの進展形態の違いについて検討をおこなった。

以上の結果を電気学会全国大会、電気学会基礎・材料・共通部門大会、電気関係学会四国支部連合大会、ISEIM2023にて発表し、また論文投稿をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究推進方策として挙げた
・発光量の大きい放電に限定し、トリーの進展と発光を同時に観察することができる方法を検討すること。
・機械学習を用いた発光画像やトリー画像の分類をおこない、発光とトリーの進展の関係を検討すること
・FTIRによる測定値を評価基準として、架橋度とトリーの進展形態について検討すること

の3つすべてについて実施し、得られた成果を学会等で発表している点で着実な研究の進展が認められる。

今後の研究の推進方策

最終年度であることから、発光とトリーの進展の関係について検討することに注力する。
そのため、本研究の中で新たに構築した同時観察を主として実施する。試料の架橋度の違いによる進展の違いや、印加電圧、ギャップ長、トリーの進展位置など電界に依存すると考えられる条件を変えて実験をおこなう。さらに放電電流を測定することで、どこの枝にどれくらいの電流が流れているかを知ることが可能となり、放電電流と発光、トリー進展の関係を検討することができる。画像を解析するために相当の時間を要することが考えられるため、画像の処理方法についても検討していく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 機械学習による電気トリーイング現象画像の認識と分類2023

    • 著者名/発表者名
      汐崎 悠大, 全 現九, 井堀 春生
    • 雑誌名

      電気学会論文誌. A

      巻: 143 号: 8 ページ: 282-283

    • DOI

      10.1541/ieejfms.143.282

    • ISSN
      0385-4205, 1347-5533
    • 年月日
      2023-08-01
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 架橋度の異なる2層シリコーンゲル中における電気トリー現象とその絶縁耐力2023

    • 著者名/発表者名
      黒田理沙、全現九、井堀春生
    • 雑誌名

      電気学会論文誌. A

      巻: 143 号: 4 ページ: 166-172

    • DOI

      10.1541/ieejfms.143.166

    • ISSN
      0385-4205, 1347-5533
    • 年月日
      2023-04-01
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrical treeing phenomena in two-layer silicone gel with different crosslinking degrees and its dielectric strength2023

    • 著者名/発表者名
      Risa Kuroda, Hyeon-Gu Jeon, Haruo Ihori
    • 雑誌名

      Electrical Engineering in Japan

      巻: 216 号: 3

    • DOI

      10.1002/eej.23437

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 放電発光とトリー形状の同時観察による電気トリー進展機構の検討2024

    • 著者名/発表者名
      竹本光輝・村尾慶臣・井堀春生・全 現九
    • 学会等名
      令和6年 電気学会 全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 架橋度の異なる3層シリコーンゴム中を進展する電気トリーとその絶縁耐力2024

    • 著者名/発表者名
      井堀春生・大森 樹・村上亮介・會田哲土・全 現九
    • 学会等名
      令和6年 電気学会 全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 2層シリコーンゴムの架橋度と電気トリーイング現象2023

    • 著者名/発表者名
      井堀 春生,黒田 理紗,大森 樹,全 現九,伊東 紗希
    • 学会等名
      令和5年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Classification of Electrical Treeing Images by Machine Learning of Supervised and Unsupervised Learning2023

    • 著者名/発表者名
      Yudai Shiozaki, Hyeon-Gu Jeon, Haruo Ihori
    • 学会等名
      ISEIM2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 架橋度の異なるシリコーンゴム3 層試料中を進展する電気トリーと絶縁耐力2023

    • 著者名/発表者名
      大森 樹、全 現九、井堀 春生
    • 学会等名
      令和5年度 電気・電子・情報関係学会 四国支部連合大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 教師なし学習を用いた電気トリーイング画像の分類2023

    • 著者名/発表者名
      汐崎悠大、全現九、井堀春生
    • 学会等名
      令和5年電気学会全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] シリコーンゲル中に発生した電気トリーの進展距離と放電発光量との関係2023

    • 著者名/発表者名
      石坂太志、汐崎悠大、竹本光輝、全 現九、井堀春生
    • 学会等名
      令和5年電気学会全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 局所放電発光観察によるシリコーンゲル中を進展する電気トリーの考察2022

    • 著者名/発表者名
      井堀 春生, 薮内 渉, 石坂 太志, 全 現九
    • 学会等名
      令和4年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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