研究課題/領域番号 |
22K04053
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
熊野 照久 明治大学, 理工学部, 専任教授 (80371243)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 電力系統 / 最適化 / 需給制御 / 不確定性 / 発電費用 / 変分法 / エネルギー貯蔵装置 / 電力市場 / M-Gセット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,以下の項目について検討する。 1)今後24時間程度の発電,負荷の変動が誤差なく予測できることを前提に,電力貯蔵装置の上下限制約や入出力電力の制約,系統各部の運用制約などを満足する最適な運用方式を時間関数として最適化する手法を開発する。 2)上記1)で開発する手法で得られる最適解に正弦波変動を重畳しこれを徐々に拡大することで変動可能幅を求める手法を開発する 3)1)と2)を組み合わせ確率的変動まで考慮した時間関する最適化手法とする 4)数値実験に一部実機実験も組み合わせて,開発した手法の妥当性を検証する
|
研究実績の概要 |
本研究では将来の我が国電力システムにおいて超高圧系統にまで再生可能エネルギー電源が大量導入されるであろうことを念頭に,ここに置かれるエネルギー貯蔵装置をいかに運用すべきかについて検討する。翌日の再生可能エネルギー出力,電力需要の変化がノードごとに予測できた場合に最も望ましい従来型電源間の出力分担とエネルギー貯蔵装置の充電・放電パターンを算出するプログラムを開発する。特に期待される変化から不確定的に変動があった場合に,これに対応することを考慮した計算手法はこれまで存在せず,ここを含めた開発を行うことを目的とする。 平成4年度は,これまでに実施してきた数値計算技法や理論のベース,すなわちティニーのスキーム2など電力システムに適した大規模疎行列の取り扱いやオイラー・ラグランジュ方程式の一括解法等のプログラム資源を活用して,比較的小規模な系統を対象に,系統側の諸条件(線路潮流や母線電圧など)やエネルギー貯蔵装置の性能(たとえばサイクル効率など)を考慮した動的な翌日運用・充放電に関する最適化計画プログラムを開発した。また,一方で本研究の眼目の一つである不確定性に対応するため,電力市場の動きも考慮した経済性,特に需給バランスに関わる制約や,そのペナルティが不確実性によって,どのように影響を受けるかについても数値実験によって検討を加えた。 これらの結果は国内外の学術集会に発表あるいは投稿準備中であり,関係する専門技術者,研究者と情報交換を行っている。これにより本研究に関する基本的なフィージビリティが実際に走り出したところで再確認できたと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を成功するためのポイントは大きく二点である。第一は一般的な系統において超高圧ネットワークの電気的特性とエネルギー貯蔵装置の動特性,発電プラントの動特性を必要とされる精度で考慮できるシステムの開発であり,第二は再生可能エネルギーに特有の不確定性であり,これらに対処できることは,本研究が完成するために欠くべからざる要件である。 第一の点について研究スキルの上で必要とされる要素は,主に数値計算に関わるものであり,具体的には大型の行列の取り扱いを可能とする疎行列技法や時間関数の最適化を可能とするオイラー・ラグランジュ方程式の時間方向一括積分解法であるが,これらは今年度,実際に対象系統に適用することで可能であることが実証された。 第二の点についてはソフトウエア的な検討とハードウエア的な検討を要するが,前者については具体的なケーススタディで対処可能であることが示せた。従って,回転型の発電要素などを用いたハードウエア実験を行って確認することが残されているとはいえ,ほぼ研究で目指すものが実現可能といえるところまで進めることができたといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きソフトウエアベースの検討やプログラム開発を進めつつ,実機での実験によりソフトウエアベースの数値的検討で得られた知見を確認することが必要である。 このために,これまで通り気象データの更新を行うとともに,数値的にそれら不規則変動への対処の可能性を確認する。さらに翌6年度以降に予定されるハードウエア実験の準備を始め,不規則変動を作りだす場合のノードごとの同期の取り方を決定するとともに,数多くの不規則な動作を含むケースの計測結果の評価についても検討しておく。 なお,ソフトウエア部分では取り扱う系統規模を少しずつ大きくしていくが,この時に所要計算時間が拡大していく。いずれかの時点で計算技法自体に見直しをかけざるをえないポイントが出てくる可能性は現状否定できないので,計算機リソースや現実的な実現性の点にも注意を払いながら研究を続ける。
|