研究課題/領域番号 |
22K04054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
新海 健 東京工科大学, 工学部, 教授 (00758295)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | アーク / 液体プラズマ / 限流 / 直流遮断 / 電磁反発 / 直流遮断器 / 液中プラズマ / エネルギーアブソーバ |
研究開始時の研究の概要 |
液中アークプラズマを用いた多相限流エネルギーアブソーバと環境低負荷の機械的スイッチを併用したハイブリッド型の革新的高電圧直流遮断器を提案し、その開発を進めるものである。具体的には、将来の250kV等の多端子直流送電主回路遮断器へのコンポーネント適用を視野に、1ユニット15kVの直流遮断の達成を目指す。そのため、液中アークプラズマの物理を明らかにし、エネルギーアブソーバとしての設計手法を確立する。また、送電網の安定化の観点から決まる直流送電網側の仕様の整合性について評価し、本方式の実用化に向け、ユニットアブソーバの直並列接続など、解決すべき技術的課題を整理提言する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、多相限流アブソーバの設計・試作および、真空遮断器を組み合わせた直流遮断の試験検証を行い、性能向上の検討を実施する計画であった。 遅れていた高電圧コンデンサが入荷し、コンデンサバンクを20kV180μFから40kV60μFに増強した。これにより、従来の電流波高値1kA程度から2kA程度の電流での検証が可能になった。 これまでの検証で性能の優れていた磁界印加型で多相限流アブソーバの設計および試作を行った。直流遮断試験を行ったところ、エタノール30vol%水溶液、シリコンオイル、水の順に良好な特性が得られた。エタノールは潜熱(気化熱)が838J/gと小さく、大量の蒸気が発生するため圧力が上昇しアーク断面積が絞られるためと考えられる。また、水にフィラーを添加した場合、酸化チタン等のセラミックス系のナノ粒子を4wt%程度添加すると特性が向上する結果が得られた。融解熱・気化熱が大きく、アークエネルギーの30%程度を吸収する見積である。効果的な冷却により導電率が低下したものと考えられる。 性能のよい酸化チタン添加水と水のアーク電圧の測定結果をモデル化し、10kV直流2端子系統の短絡電流の限流遮断シミュレーションを行った。故障電流遮断に必要な特性は、水では、ギャップ150mm、開極速度7.5m/sであり、酸化チタン4wt%分散液では、ギャップ45mm、開極速度2.25m/sであった。2022年度の磁界印加なしの水の測定値をベースにしたシミュレーションに比べ大幅に改善できていることがわかった。 また、蒸気量を測定値から見込んだ電磁流体解析により、エタノールで導電率が低下する現象を再現することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遅れていた高電圧コンデンサバンクの増強を完了した。多相限流アブソーバの設計および試作、検証を行うことができた。各種液体やフィラーを添加した水で検証を行い、性能上昇を確認できた。また、測定値からモデル化した遮断シミュレーションで実規模系統での性能予測を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに検証してきた方式による直流遮断器の実用化の検討及び検証、技術課題の整理提言を行う。具体的には、直流送電網の仕様と整合性の検討・評価、ユニットアブソーバの直並列接続に関する現象検討・評価、解決すべき技術課題の整理・提言を行う。
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