今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究においては当初の研究計画通りほぼ実施できたので、公募時の研究計画に従って推進する。今後は導体間における伝搬時間を考慮した埋設地線モデルの開発を行い、提案モデルのEMTPでの使用またはソースコードへの組み込みによる大規模接地系への適用、実験的検証および簡易式の導出を実施する。 過去の研究で埋設地線2条における誘導性結合および抵抗性結合は自己サージインピーダンス計算式および商用周波数接地抵抗計算式における導体半径を埋設地線間距離に置き換えることにより測定結果と計算結果が良好に一致することを確かめている(S.Sekioka, 他, IEEE Trans. Electromagn. Compat., Vol. 63, No. 6, pp. 2065-2073, 2021)。この研究成果を採用することにより、研究課題は伝搬時間の模擬方法に絞られる。埋設地線は無損失線路と接地抵抗をその両端に分散させることにより模擬できることを明らかにしている(S.Sekioka, 他, IEEE Trans. Electromagn. Compat., Vol. 56, No. 2, pp. 444-453, 2014)。埋設地線間における伝搬時間模擬は小規模接地極の模擬方法と同じ手法で模擬できるため、接地抵抗における伝搬時間模擬方法についても同じであり、開発における大きな課題はないと考える。 接地網について、相互接地抵抗と自己接地抵抗から導出される定常接地抵抗の簡易式を検討し、どの程度の精度を有しているかについてついて検討を行う。開発したモデルは実験等により検証を行い、提案モデルの精度を確かめる。モデルの検証には2導体系埋設地線および接地網の単位関数応答測定結果を用いる。
|