研究課題/領域番号 |
22K04066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
關根 惟敏 静岡大学, 工学部, 助教 (00765993)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 車内配線網 / 車載ワイヤーハーネス / 特性解明 / 最適化設計 / 解釈可能なAI / 機械学習 / 深層学習 / 多項式カオス法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,自動車の車内配線網の電気的特性の解釈と解明を,ブラックボックス化した人工知能(AI)を説明するための手法である「解釈可能なAI」を用いて実現する.加えて,車内配線網の確率的最適化設計環境を,効率的な統計的手法である「多項式カオス法」を用いて構築する.電気自動車や自動運転の発展に向けて複雑多様化する車内配線網を設計するにあたり,設計者が理論的・直感的に特性や性能を解釈・解明できるシステムと効率的な最適化設計環境を創出することで,実用的な自動車設計の実現に貢献する.
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研究実績の概要 |
本研究では,【①車内配線網の電気的特性の解釈と解明】と【②車内配線網の確率的最適化設計】について取り組んでいる.本年度は①に関して,電子機器が接続された車載ワイヤーハーネスを対象とし,アイソジオメトリック解析を3次元電磁界シミュレーションへと拡張できるようにプログラムを作成した.加えて,分類問題における解釈可能なAIの手法の一つであるGrad CAM (Gradient-weighted Class Activation Mapping)を改良して回帰モデルへ適用可能にしたGrad RAM (Gradient-weighted Regression Activation Mapping)のアルゴリズムを考案し,性能の検証を行うプログラムを作成した.検証用のプログラムでは,車載ワイヤーハーネスの断面画像を対象とし,Grad RAMが出力した活性化マップを用いた回帰モデルの解釈を試みた. 結果として,入力データにおいてワイヤを個別に与えた場合は,ワイヤ周辺のみの重要度が高い活性化マップとなったのに対して,ワイヤをまとめて与えた場合は,ワイヤ間の空間も重要度が高い活性化マップとなった.また,ワイヤを個別に与えた場合の方が推論の精度が高かった.つまり,精度の高いモデルにおいて,ワイヤ間の空間の重要度が低いことが分かった.これは,電気的性能の指標としたコモンモード電流がワイヤに個別に流れる電流の総和として定義されており,ワイヤ間の情報を必要としないこととつじつまが合う.以上により,断面形状と電気的性能の相関を説明することが可能となったといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた3次元のアイソジオメトリック解析のプログラムを完成させることができ,さらにGrad RAMの基礎的なプログラムが作成・検証できたため,順調に進展していると考える.特にGrad RAMは今後の研究の根幹となるため,次年度以降の研究が円滑に実施できることが期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は①に関して,車載ワイヤーハーネスの断面画像を対象としていた一方,今後は車内配線網の3次元構造を対象とした回帰モデルの作成とGrad RAMの検証を行う.回帰モデルは,アイソジオメトリック解析による電磁界シミュレーションから算出された電気的特性と車載配線網の形状を機械学習の訓練に用いるデータセットとし,形状と電気的特性の相関関係を表すモデルとする. 続いて②に関して,電磁界シミュレーションによる数値データに加えて,車載ワイヤーハーネスを含む実験系を利用した測定データの収集を行う.具体的には,いくつかの車載ワイヤーハーネスを用意し,それぞれに対して形状や接続する電子機器を変更して測定データを収集した後,平均や標準偏差といった統計的情報と確率密度関数を導出することを目標とする.
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