研究課題/領域番号 |
22K04068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
本田 崇 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70295004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | カプセル内視鏡 / 永久磁石 / 外部磁界 / 磁気トルク / 細胞診 / 生検 / 穿刺 / 磁気応用 / インプランタブル機器 / ワイヤレス駆動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次世代の医療機器であるインプランタブルマイクロロボットへの応用を想定した磁気アクチュエータのワイヤレス駆動技術を開発することを目指す。マイクロロボットにはcmサイズとmmサイズの2種類の大きさを取り上げ、それぞれに適した自走用・診断治療用マイクロ磁気アクチュエータの開発を行う。また、マイクロ磁気アクチュエータをワイヤレス駆動するために、外部永久磁石を利用した磁界発生システムを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、2040年頃の未来社会で実現が期待されるインプランタブルマイクロロボットへの応用を想定した『マイクロ磁気アクチュエータのワイヤレス駆動技術』を開発することにある。提案する技術は、マイクロロボットに内蔵するマイクロ磁気アクチュエータ、及び、それを駆動するための外部磁界発生システムである。マイクロロボットは体内に挿入され、消化管内を移動しながら診断や治療の動作を行うことを想定している。そのため、開発するマイクロ磁気アクチュエータは自走に必要な動作に加えて、生検や投薬といった診断・治療のための駆動源としての役割も担う。また、外部磁界発生システムは、人体を覆うような大きなコイルや電磁石ではなく、小型のロボットアームで永久磁石を駆動する卓上サイズを目指す。 2年目となる今年度は、1年目に開発した外部永久磁石をステッピングモータで駆動する回転磁界発生システムの改良を実施した。身体の深部で磁界強度が減少する問題に対し、1年目は身体の反対側にもう一つの外部磁石を配置する構成を提案したが、被験者の体格に左右される欠点があった。そこで、外部永久磁石の周囲に集磁用の軟磁性体(45パーマロイ)を適切に配置し磁界の増加を試みた。実験とシミュレーションの結果、最大100mmの深部でも駆動に必要な磁界強度を確保することに成功した。 マイクロ磁気アクチュエータについては、1年目の自走機能や固定機能の結果を受け、生検機能と穿刺による薬剤注入機能の開発を行った。生検は鉗子によるものを検討し、組織採取の成功率を向上するための機構の検討と永久磁石のサイズの見直しによる駆動磁界の低減を進めた。穿刺による薬剤注入では、穿刺とバルブの開閉を1つの機構で行える新機構を新規に考案し、無負荷の状態での基本動作の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に試作した回転磁界発生システムに問題が見つかり、予定になかった装置の改良に取り組んだため2年目の前半は当初予定からやや遅れた。しかし、新たに考案した磁石周囲に軟磁性体を配置する手法が、磁界強度の増加に期待以上の効果があったことから、生検や穿刺のためのマイクロ磁気アクチュエータに求められる条件が緩和され、アクチュエータの開発については計画よりも早く進んだ。その結果、1年を通してみると2年目はおおむね計画通りに進展しており、昨年度の進展の状況と合わせた全体の進展も計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度の3年目では、小型化の研究と動作環境を生体内に想定した研究を並行して実施する。小型化については自走機能を中心に検討し、らせんの回転または蠕動運動を利用した機構を検討する。生体内を想定した動作環境については、例えば、消化管であれば小腸内圧のある環境、血管や胆管等であれば粘度の高い液体中での駆動を検討する。とくに外部永久磁石を用いた回転磁界発生システムの有効性を実証するために、単機能のマイクロロボット(モジュール)を連結させて、各機能を個別に駆動することを試みる予定である。最後に本研究を総括し、引き続き本研究を進展させるかを判断したい。
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