研究課題/領域番号 |
22K04074
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
|
研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
大嶋 伸明 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 講師 (50564811)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | パルス電気分解 / 水素製造 / アルカリ水 / 気泡形成と離脱 / パルスパワー / 電気分解 |
研究開始時の研究の概要 |
水素製造のための電気分解のエネルギー効率向上を目的とし、従来から用いられてきた直流電力による手法ではなくパルスパワーを用いた電気分解を提案する。過去のパルス電解の研究報告によれば、電源がOFFの期間に電極に付着している気体が電極から離脱するため、エネルギーが効率的に電解に消費されると言われている。しかしながら、電圧・電流波形と気泡の形成の様子を同時に観測した研究報告はない。そこで本研究では、高速度カメラとデジタルオシロスコープにて写真と波形を同時に観測し、パルスの立上り時間やパルス幅に対して、気泡の形成と離脱がどのように変化するかを確認して最適なパルス形状に関する知見を得ることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究課題はパルス電力よってアルカリ水溶液を電気分解した際の電圧・電流波形と気泡の形成・離脱を同時に観測し、電気分解に適した波形パターンを見出し、電気分解による水素製造のエネルギー利用効率を高めることを目的としている。本年度は高電圧パルス電源を作製し、一般的な電気分解よりも高い電圧での実験と、電気分解によって生成される気泡と電圧波形の同時観測を行う測定系の立ち上げを行った。 作製した高電圧パルス電源は、立上り時間をおよそ 50 ns 程度でセルに電圧を印加することが可能で、周波数 500 kHz、duty 5 % 程度の短パルスによる電気分解が可能である。電圧は100 V 以上出力することが可能であるが、今回は電圧を 5~12 V とし、dutyすなわちパルス幅も変化させて単位体積の水素を生成するのに必要なエネルギーを調査した。その結果、いずれの電圧においてもduty 5 % における水素生成エネルギーが最小となった。この原因を気泡の形成、成長、離脱の様子から考察するため、印可電圧の測定と高速度カメラに電極近傍の同時観測を試みた。高速度カメラにズームレンズを取り付けることで、電極上に生成される約 100 μm 程度の気泡を観測することができる。しかし電極に印可する電圧が最大で500 kHz であるのに対して、電極上の気泡は生成から離脱まで数秒を要する。この間に、注目している気泡に電極から離脱した別の気泡が衝突することがあり効率的に撮影を行うことができなかった。今後はより撮影に適した電極構成を考案・試作する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気泡の形成から離脱までのタイムスケールと今回用いたパルス電圧のタイムスケールに大きな開きがあり、当初予定していた測定範囲においては同時観測に大きな意味がないことが分かった。そのため μs 程度のパルスに対して数秒の撮影を行い、パルス電解による水素生成エネルギー低下の要因を調査する方針に変更した。また新型コロナウィルスの影響もあった。高速度カメラ購入後、装置の立ち上げ作業に購入した業者様に来学していただきレクチャーを受ける予定であったが、担当の方が新型コロナウィルスに罹患され実験開始がおよそ1カ月ほど遅れてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
電気分解によって生成、成長、離脱する気泡の様子を撮影する測定系が構築できたので、印可電圧波形と気泡の挙動の関係を引き続き調査する。また、現在のところ原因は不明だが電解によって生成される水素と酸素の比が 2:1 ではなくおよそ 1.2:1 となるパルス波形の条件があることが明らかとなったため、この要因を調査する予定である。
|