研究課題/領域番号 |
22K04085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安 昌俊 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (90453208)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 畳み込みニューラルネットワーク / 画像化データ / スペクトログラム / 通信環境推定 / 大規模MIMOシステム / 超多接続無線環境 / る通信路推定 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
6Gではテラヘルツ波など、5Gのミリ波よりも一層高い周波数帯が使われるため減衰が大きく伝搬距離も短いため多くのユーザや無線端末が狭いエリアに集中し、各端末の移動など周囲の環境の変化等による干渉の時変動が激しく、遮蔽による通信品質の劣化も生じる。本研究は、人工知能が得意とする画像データ処理に着目し、既存の参照信号の生データを人工知能に学習させるのではなく、これまでの学習と全く異なる画像化手法で複数の位相情報を一つの画像に含ませるデジタルホログラムの様な新しいスペクトログラムの生成とそれを学習させることで超多接続の通信環境の高速・低遅延での推定へ挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、人工知能が得意とする画像データ処理に着目し、超多接続の6G無線環境下での大規模MIMOシステムの通信環境推定のために人工知能の学習に必要な複数の位相情報を含ませた新しい画像化データの生成手法とそれを用いた低演算・低遅延での通信環境推定手法の提案とその有効性を明確にすることである。 研究目的を達成するため、令和5年度は、①空間相関が高い環境下での最適な通信環境推定法とそのシステム性能の明確化、②画像化データを用いた通信環境推定時に通信パッケトの初期同期などを行う方法を中心に研究を行った。まず、空間相関が高い環境下での最適な通信環境推定法とそのシステム性能について、理論解析とシミュレーションを併用し、実現可能なシステム性能を示した。特に空間相関が高い環境下では、プリコーディング手法が有効であり、その手法の理論解析結果を論文誌へ投稿し、その有効性を示した。 他に、提案した画像化データを用いて通信環境推定を行う主な理由の一つが、IoTシステムに応用を前提しており、一般的に通信環境推定はパイロット信号と呼ばれる既知の参照信号を用いて推定を行っている。参照信号は基本的に情報を伝送することはないため、参照信号を利用すると伝送速度が劣化する問題があった。一方、画像化データを用いた通信環境推定では、参照信号を持たずに通信環境推定を可能にする方法である。令和5年度の研究では、参照信号を持たないプレアンブルレスシステムでの初期同期など通信環境推定を可能にする方法を提案し、その有効性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究計画は、①空間相関が高い環境下での最適な通信環境推定法とそのシステム性能の明確化、②画像化データを用いた通信環境推定時に通信パッケトの初期同期などを行う方法を中心に研究を行った。まず、空間相関が高い環境下での最適な通信環境推定法とそのシステム性能について、理論解析とシミュレーションを併用し、実現可能なシステム性能を示した。特に空間相関が高い環境下では、プリコーディング手法が有効であり、その手法の理論解析結果を論文誌へ投稿し、その有効性を示した。 他に、提案した画像化データを用いて通信環境推定を行う主な理由の一つが、IoTシステムに応用を前提しており、一般的に通信環境推定はパイロット信号と呼ばれる既知の参照信号を用いて推定を行っている。参照信号は基本的に情報を伝送することはないため、参照信号を利用すると伝送速度が劣化する問題があった。一方、画像化データを用いた通信環境推定では、参照信号を持たずに通信環境推定を可能にする方法である。令和5年度の研究では、参照信号を持たないプレアンブルレスシステムでの初期同期など通信環境推定を可能にする方法を提案し、その有効性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、テラヘルツ波を利用する6G無線環境下では、見通し通信ができる状況を増やしていくことが必要となる。特に多くのユーザや端末が狭いエリアに集中している場合、少しの移動でも干渉の時変動が大きく、遮蔽による通信品質の劣化も生じるためその予測が重要となる。時分割複信はコヒーレンス時間以内で上りと下りを切り替えるため、予測が簡単である。しかし周波数分割複信は上りと下りが異なる周波数を使用するため、予測は受信側からのフィードバック情報が必要となる。しかし上・下リンクの周波数が異なってもその差は中心周波数の約3%以内と少ないため、瞬間的なチャネル応答は異なっても遅延広がりや遅延パス数など高いリンク相関が現れる。令和6年度の研究では、このリンク相関を利用した新しい干渉予測法を提案しその有効性を明確にする予定である。 他に、無線通信に人工知能の機械学習を応用する上で最も重要な作業は、AI学習用のデータセットを収集することである。機械学習を用いて優れた性能を発揮させるためには、膨大な学習データが必要となる。しかし、実世界の通信環境は多様であり、大量のデータセットを集めることは非常に困難である。従って、小さなデータセットから無線信号データセットを拡張できる敵対的生成ネットワークと従来方法を組合せしたマルチモーダル(multimodal)推定法を提案し、その有効性も明確にさせる。
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