研究課題/領域番号 |
22K04097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 桂一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20290702)
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研究分担者 |
佐々木 友之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90553090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ミリ波アンテナ / 誘電体レンズ / トポロジー最適化 / FDTD法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではミリ波帯においてアンテナに密着して使用可能な誘電体レンズを実現するために傾斜機能薄型誘電体レンズを開発することを目的とする。傾斜機能材料をアンテナ用誘電体レンズに応用し,誘電率を3次元的に傾斜化することにより,アンテナと誘電体レンズを密着したときの波動インピーダンスのミスマッチの緩和と,レンズ的な収束効果による利得改善という2つの性能の両立を実現する。複雑な傾斜材料分布を設計,試作するために,自由度の高い形状設計が可能なトポロジー最適化を用いた設計法と高精度3Dプリンタを用いた試作法を確立する。提案手法により,テラヘルツ領域でも使用可能な誘電体レンズの新しい構造の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
波長より小さい小型誘電体レンズに着目し,立体的な厚みが出る構造になることが多い誘電体レンズを,高誘電率材料を用いて波長短縮効果により薄型化することを提案した。解析による検証により,ミリ波帯において小型かつ薄型誘電体レンズでも利得が改善することを確認した。 一方,高誘電率材料を用いた試作が困難であることから入手可能な材料による薄型レンズの設計を試みた。3Dプリンタのフィラメント材であるPLA(ポリ乳酸)を用い,トポロジー最適化を用いた設計を行った。試作可能な滑らかな構造を得るために本研究では関数近似器として複数のガウス基底を組み合わせたNGnet(正規化ガウス関数ネットワーク)を用いた。 本研究ではFDTD法(時間領域差分法)を用いてモデリングおよび計算を行った。FDTDセル単位で媒質の設定を行うこととし,NGnetが正の領域にあるセルは誘電体,負の領域にあるセルは空気となるように設定する。誘電体レンズを装荷するアンテナとしてミリ波導波管スロットアンテナを用い,計算負荷を少なくするように縮小した解析モデルを用いた。スロット数は1個とし,その開口面に誘電レンズの設計領域を設定する。アンテナへの入射波は76 GHzのCW波とし,導波管終端にはPMLを挿入して無反射終端とした。 計算結果より,従来の半球構造よりも薄いレンズにより同等以上の収束効果を得ることができることが分かった。レンズ設計領域とアンテナの放射源の間に隙間を設けることが必要であり,アンテナとレンズの整合層の適切な厚さを導き出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた高誘電率材料による試作は困難であるが,3Dプリンタを用いた従来材料でも薄型レンズの開発が可能であることを示すことができたため,おおむね予定通り研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
薄型レンズの試作と測定が今後の課題である。薄型レンズの試作方法では3Dプリンタによる試作を行う。3Dプリンタフィラメントでは整合層として傾斜機能材料を実現することは実質的に難しいため,空気層の厚さによって制御する。波面の位相を直接測定し,レンズによる波面制御の効果について定量的に評価できるようにする。
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