研究課題/領域番号 |
22K04098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
金田 直樹 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 主任研究員 (10392797)
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研究分担者 |
宮崎 裕己 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 領域長 (40392782)
塩見 格一 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (60392768)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 量子鍵配送 / 情報セキュリティ / 光無線通信 / 航空通信 / 航空機監視システム / ADS-B |
研究開始時の研究の概要 |
航空機の安全かつ効率的な運航のための監視システムとして世界的に用いられるADS-B(放送型自動従属監視)では、航空機上のトランスポンダが自機の位置情報等を自発的に放送する。ADS-Bは従来のレーダと比較してシステムが安価かつ位置精度が高いが、なりすましなどの問題が起こり得ることが指摘されている。本研究では高い通信速度を実現できる空港面において、量子鍵配送により安全なADS-Bを実現するための基礎的な検証を行う。
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研究実績の概要 |
航空交通の安全性を確保する航空交通管理のためのインフラには,高度のサイバーセキュリティ対策が必要不可欠であり暗号化は有効な対策である。暗号化の前に送信者と受信者は秘密の鍵と呼ばれる暗号化および復号に必要な情報を共有する。解読に数万年かかるために安全とされる公開鍵暗号を用い,送信者と受信者は鍵を安全に共有できる。しかし,一般的な公開鍵暗号は将来の量子コンピュータにより数時間で解読できてしまう。量子鍵配送(Quantum Key Distribution, QKD)は,安全でない通信手段により秘密鍵の共有を実現し,かつ,量子力学の基本原理により秘密鍵の漏洩がないことを保証できるため,現在の公開鍵暗号と比較して決定的に優れている。 本研究では,2040年頃に航空交通管理のためのインフラとして予想されるADS-Bにおいて,空港面の航空機と地上施設での間で光通信によるQKDが利用できるか技術的な検証を行う。量子複製不可能定理により,任意の量子状態を増幅することは不可能であるためQKDでは伝送損失と雑音を減らすことが重要である。 本研究は,以下(1),(2)の研究開発を実施する。(1) 空港面における航空機と地上間の光伝送損失と環境光を測定し, QKDの性能を推定する。(2) 2040年頃の航空交通管理のためのインフラとしてADS-Bを想定し,QKDによるセキュリティ改善のための手法を検討する。 2年目の令和5年度は,航空機で測定することを念頭に広帯域の光自由空間損失を測定する方法を検討し,定量的に評価する手法を確立した。また,民間航空における情報セキュリティの現状について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鍵配送問題を解決するための既存技術である公開鍵基盤により,安全な航空通信や航空航法に関する実装や実装を前提とする検討が現在すすめられているが,航空監視システムへの公開鍵基盤の適用については実装や実装を前提とする検討がなく,無線信号の方式から検討する必要があることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
実際の航空機における量子鍵配送の利用を想定し、当所の実験用航空機の窓による透過損失特性を測定し、航空機と地上間で量子鍵配送を行うのに適した条件を示す。 量子鍵配送により共有した鍵を使い,航空機監視システムに適用について検討する。
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