研究課題/領域番号 |
22K04099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
後藤 優太 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所フォトニックICT研究センター, 研究員 (90827057)
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研究分担者 |
岡本 淳 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (40224068)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 空間分割多重 / モード分割多重 / 光ネットワーク / 空間光変調器 / ホログラム |
研究開始時の研究の概要 |
光ネットワークの大容量化のために、マルチコアファイバのコアやマルチモードファイバのモードを空間チャネルとして経路を切り替える空間チャネルネットワーク(SCN)が提案されている。SCNでは各コア・モードを選択的にスイッチするデバイスが必要となる。しかし、モードをスイッチするためには、モード分散によるモード間クロストークを補償するための多入力多出力(MIMO)処理と呼ばれる大規模なディジタル処理が必要となる。本研究では、このような大規模なディジタル処理を不要とする、光の周波数領域でのモード分散補償に基づいた全く新たなMIMO処理について検討を行い、モード選択スイッチを新たに確立する。
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研究実績の概要 |
当該年度における研究目的は「周波数領域光MIMOの基本原理の実証実験」および「回折格子および空間光変調技術の高分解能化」であり,以下の内容を実施した. 周波数領域光MIMOの基本原理の実証実験に向けて,サブシステム間を接続する光ファイバの位相揺らぎを避けるために新たに伝送路以外を全て空間光学系で実証する必要が生じた.そのため,モード分離器,回折格子,空間光変調器(SLM)およびコヒーレント検波用の光90度ハイブリッドを全て空間光学系で実装し,それらをマルチモードファイバ内の複数の信号間で遅延差が生じないように接続するために全体の光学系の設計・開発を実施した.現在,開発した空間光学系にて光信号の送受信が可能であることを確認する予備実験を実施中である. 次に,回折格子および空間光変調技術の高分解能化に向けた検討を昨年度から引き続き実施した.将来的な回折格子の高分解能化に向けて,より高分解能な空間光変調技術が必要となる.当該年度は提案したビームスプリッタと2つの空間光変調を組み合わせることで疑似的に空間光変調を高分解能化する手法において,数値解析による実証を行った.それらの結果は国際学会(International Symposium on Imaging, Sensing, and Optical Memory (ISOM 2023))および応用物理学会北海道支部大会において発表した.また,所望の空間変調を得るために,それぞれの空間光変調器に与える変調用位相パターンの算出方法を確立し,空間光変調器の物理的な画素数の2倍の分解能をもつ空間光変調が可能であることを実験により実証した.この手法は,光通信分野のみならず光信号処理,光計測など幅広い分野に応用が可能である.実験で得られた成果は国際学会(The 29th MICROOPTICS CONFERENCE (MOC 2024))にて発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに空間光学系での実験系が必要となり当初の計画に対して遅れが生じていたが,「研究業績の概要」で述べた空間光学系の設計・開発が完了したため,十分に挽回が可能である.また,回折格子および空間光変調技術の高分解能化に関しては計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
開発した空間光学系を用いて,マルチモードファイバの伝達関数の測定実験及び周波数領域光MIMOの実証実験を完了させる.その後は,個別に実証した空間光変調の高分解能化手法を組み合わせて,より細かい周波数分解能での光信号の補償を実証する.このとき,周波数分解能を細かくすることで,補償可能となるマルチモードファイバの距離を見積もる.さらに,周波数領域光MIMOを用いたモード選択スイッチの実験を行い,最終的にモード数に応じたスイッチング容量(10モードの場合は最大で10倍)が得られることを確認する.また,得られた成果を学術論文誌または国際学会にて発表する.
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