研究課題/領域番号 |
22K04104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
宮本 伸一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50252614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 2.4GHz帯 / アンライセンスバンド / 自営系無線ネットワーク / 周波数共用 / 周波数管理 / 無線LAN / ローカル5G / 人工雑音 / 無線LAN / ローカル5G |
研究開始時の研究の概要 |
企業や自治体が自ら管理する建物や敷地内に構築する自営系無線ネットワークとして、無線LANとローカル5Gを併用するシステムが検討されている。しかし、無線LANとローカル5Gの単なる併用は、各々のシステムが持つ固有の課題を抜本的に解決し得るものではない。本研究では、無線LANが抱えるQoSを保証できない問題の本質的な原因はプライベート空間での周波数資源の管理の不十分さにあると捉え、ローカル5Gを活用してエリアオーナがアンライセンスバンドの周波数資源を集中管理する自営系無線ネットワークを提案する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、ローカル5Gのサブネットワークとなる無線LANにおいて、従来の無線LANでは成し得なかった通信品質保証伝送を可能とする 『エリアオーナ主導型周波数資源管理システム』 を提案し、その有効性を検討している。提案システムでは、アンライセンスバンドの電波環境の情報収集および周波数割り当て結果の通知にローカル5Gの低遅延伝送を活用することで、周波数利用の自由度を高め、QoS保証確率の向上を目指している。 研究期間2年目である令和5年度では、まず、伝送空間内に設置される2つの自営系無線ネットワーク(ローカル5G、無線LAN)の通信機能を装備する分散基地局が、ローカル5Gのフレーム送受信タイミングに合わせて無線LANの送信機会を獲得できる予約型連携プロトコルを検討した。 次いで、各分散配置基地局から収集した情報を基に各無線LAN(サブネットワーク)に割り当てる周波数資源を決定するアルゴリズム、および、割り当て結果を通知するプロトコルを考案し、その伝送性能を評価した。その結果、プライベート空間内に来訪してきた第三者無線LAN(外来BSS)からのフレーム送出をほぼ完全に抑止することができ、エリアオーナ無線LANは安定した伝送性能を確保できることを明らかにした。 また、並行して、前年度に提案した自営系無線ネットワーク(無線LAN、Bluetooth)と高周波利用設備(電子レンジなど)が共存するための伝送手法(時間多重伝送/二段階復号方式、FECを併用した非一様チャネル選択型適応周波数ホッピング方式)の有効性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の『補助事業期間中の研究実施計画』欄にて、令和5年度実施課題として掲げた3つの研究課題、すなわち、(課題2-1)分散配置された基地局がローカル5Gのフレーム送受信タイミングに合わせて無線LANの送信機会を獲得できる予約型連携プロトコルの開発、(課題2-2)集約した情報から各無線LANに割り当てる周波数資源を決定するアルゴリズムと割り当て結果を通知するプロトコルの考案、(課題2-3)開発したプロトコルとアルゴリズムを用いた場合の無線LANの伝送性能の評価を実施できた。特に、(課題2-2)で提案したプロトコルは、昨年度開発したデイジーチェーン型プロトコルを発展させたものであるため、当初計画よりも早期に開発を完了することができた。さらに、当初想定以上の件数の外部発表を行うこともできた。これらの事由により、本研究課題の目的の達成度は『おおむね順調に進展している』と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(令和5年度)の研究では、ローカル5Gを介した無線LANのアクセス制御の集中管理について検討した。 本研究課題最終実施年度の令和6年度では、自営系無線ネットワークの伝送性能劣化要因のひとつであるISM機器から発生する人工雑音を対象として、ISM機器の稼働状態と無線LANの伝送パラメータを一括して制御するための伝送プロトコルとアルゴリズムを提案し、その有効性を検証する。具体的には、(課題3-1)IoTを介して、①トラヒックと無線伝搬路状況に関する情報、②ISM機器の稼働状況を集約するプロトコルを考案する。また、集約された情報を基にISM機器の稼働状況と無線LANの伝送パラメータを最適化するための評価関数とアルゴリズムを考案する。(課題3-2)考案したプロトコルとアルゴリズムの有効性を検証するため、ISM機器が共存する環境での伝送性能を計算機シミュレーションにより評価する。 また、最終年度であることから、令和6年度下期には、本研究課題の統括として、本研究で提案する『エリアオーナ主導型周波数資源管理システム』の有効性を検証する。
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