研究課題/領域番号 |
22K04105
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小玉 崇宏 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50638525)
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研究分担者 |
松本 怜典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20809909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 光通信 / セキュリティ / 暗号 / デジタルコヒーレント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,シンボル保持マスク方式の特長を活かしながら,盗聴者に元の暗号鍵を解読された場合に高秘匿性を確保するため,伝送時点で暗号鍵情報が時空間の2次元に拡散するように,暗号鍵を基に位相シフトさせる前段階にデジタル領域で行う時空間暗号化キートランスフォーメーション(KX)技術を創発する。さらに,正規受信者が変調信号の信号品質・情報量のいずれも劣化なく,盗聴者が“暗号鍵”と“暗号文”の2つの盗聴に成功し,且つ誤り訂正能力の高い軟判定復号を試みる場合においても,暗号解読が困難であることを立証する。
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研究実績の概要 |
本研究では,暗号利用モードの中で現代共通鍵暗号の標準的なAESと共存可能かつ独立に動作可能な物理暗号技術の確立に向けて,比較的低速で処理できるデジタル信号を対象とした暗号化の研究に取り組み,正規受信者に対して信号品質・情報量がともに無劣化の特長を活かした新たな時空間暗号化KXの技術を確立することが本研究の目的としている.今回の研究対象とする時空間暗号化KX技術を適用した偏波多重多値変調信号の伝送システムにおいて,受信時の信号品質・情報量について数値シミュレーションを中心に評価することを当初申請段階で計画していた. 1年目の終了時点で,時空間独立の従来暗号鍵を用いたシンボル配置保持マスク方式に関する以下の2つの研究成果を得ている.①光ファイバ伝送における線形領域と非線形領域のいずれにおいても,正規受信者に対して信号品質であるBERと一般相互情報量であるGMIいずれも暗号化無しの場合と比較して過剰な劣化がないことをシミュレーションと実験により示した.②完全および部分的に暗号鍵を所有した盗聴者モデルを確立し,盗聴割合に対するBERとGMIをシミュレーションにより明らかにした.また,時間拡散した暗号鍵を用いたシンボル配置保持マスク方式に関して以下の成果を得た.偏波多重有無の信号に対してBERとGMIのいずれも暗号化無しの場合と比較して過剰な劣化がないことをシミュレーションにより示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究の最終目標は,時間と空間の2次元で拡散した暗号鍵を用いたシンボル配置保持マスク方式を対象に,①正規受信者,②暗号鍵所有・暗号化アルゴリズム未所有の盗聴者,③暗号鍵部分的に所有・暗号化アルゴリズム所有の盗聴者が得られるBERとGMIを明らかにすることである.その目標に対して,まずは,時空間独立の従来暗号鍵を用いたシンボル配置保持マスク方式を対象に上記3種類の評価モデルを確立したことで,暗号鍵を変更しても評価できる基盤は築くことができたといえる.また,時間領域のみ拡散した暗号鍵を用いたシンボル配置保持マスク方式の評価をできたことから,暗号鍵の拡散次元を1次元に展開した最初の評価は完了した状況といえる.
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今後の研究の推進方策 |
1年目に作成した時間拡散暗号鍵に関して,シンボルを位相方向に拡散次元を1次元から2次元に拡大する方向でシミュレーションプログラムを変更していく予定である.また,評価モデルについては1年目に作成した受信者として想定される3種類の評価モデルを活用しながら進めている予定をしている.
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