研究課題/領域番号 |
22K04106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
太田 正哉 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (70288786)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | OFDM / PAPR / OOBE / Deep Learning / FPGA / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
OFDMは第5世代移動通信システム(5G)の基盤技術であり,第6世代移動通信システム(6G)でも中心的な役割を果たす考えられている.OFDM信号にはピーク電力対平均電力比(PAPR)や帯域外漏洩電力(OOBE)が高いという課題があり,これを解決する手段として,近年深層学習を用いた手法が提案された.しかし,その有効性と実装可能性について十分な検討がなされていない. そこで本研究ではOOBEとPAPRの抑圧手段として,深層学習モデルを利用した手法の可能性について実験的に検討し,有効かつ実装可能な解決手段の開発指針を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
今年度は昨年度整備したpythonによる通信システムのシミュレーション実験用環境により実験を行った.当初計画していた考案中のモデルの性能評価を進めるにあたり,まず元論文に提案されているモデルの損失関数のパラメータ(λ)をさまざまに変えて実験を行った.実験の結果,PAPRは大幅に抑圧されるもののビット誤り率が大幅に劣化するか,またはその逆に誤り率の劣化はほとんどないもののPAPR抑圧性能が期待通り発揮されない,というトレードオフが発生することが明らかになった.実験以前に予想されていたが,数値により明確になったのは今回が初めてである.今後はこのデータを今後開発するモデルの基準に採用する. 次に,元のモデルは層数が多く計算量が大きいため,層数を1層まで削減したモデルの評価を行った.実験の結果,計算量は大幅に削減でき,通常のOFDM信号よりPAPRを抑圧することが可能となったなが,PAPRは期待ほど抑圧されないことが明らかとなった.一方で,本モデルは行列とベクトルの積で計算される単純な線形処理モデルであり,線形処理でもある程度PAPRが低減できることは興味深い結論である. 次に近年提案された機械学習を応用したPAPR抑圧モデルを調査した.調査の結果,時間領域でPAPRを抑圧するモデルがあり,一定の効果があることが明らかになった. 最後に,モデルを回路実装して評価するため,FPGA回路の設計環境を整えた.回路設計のために用いる高位合成ソフトウェアを導入し,C++で回路設計ができ,また設計回路をFPGAへダウンロードできるデータへコンパイルする環境を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遅れていた計算機の調達が完了し,その後実験環境の整備を急いで行ったことで,計画した実験が行えるようになったため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実験で基準となるデータが出そろったため,今後はさらにモデルの層数やパラメータの組み合わせ等を工夫してより高性能なモデルの構築を目指す.層数の若干の増加を許したモデルについて検討し,PAPR抑圧性能の改善効果を測定する. 次に,現在のモデルは各層が全結合であり,これが計算量増大の原因になっている.全結合層の結合荷重を圧縮する手法について検討し,実験による効果を明らかにする. 次に,モデルの学習法の改善に取り組む.一般的な機械学習ではある特定のタスクを行うモデルを学習するさい,まずある程度一般的なタスクでモデルを学習し,その後特定のタスク向けに学習を行うファインチューニングが一般的である.現在検討しているモデルの学習に同様の手法が適用できるか検討する. 最後に,今年度整備できた回路設計環境で生成できた回路を,実際のFPGAボードで検証できる環境を整備する.
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