研究課題/領域番号 |
22K04115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
東島 侑矢 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (20805147)
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研究分担者 |
木下 基 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (00415671)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | レーザー / 外部共振器 / 原子分光 / 電磁界分布 / アンテナ / マイクロ波 / イメージング技術 |
研究開始時の研究の概要 |
自由空間中の電磁波(電場・磁場)のふるまいは、多数の無線通信端末が利活用される社会において重要な測定要素である。近年、空間中の電磁波強度分布を測定する手法として従来の金属アンテナや高周波プローブを走査する手法ではなく、アルカリ金属原子と電磁波の量子相互作用を応用して電場・磁場強度を測定する手法が提案されている。本研究においても電場・磁場分布を同一センサ用いて同時に2次元イメージングすることを目標としている。特に、近傍界における電磁場のふるまいについてはリアルタイムに測定可能な系を構築することで微細化する高周波回路やアンテナの高周波特性やEMC評価への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
今年度の実績として、セシウム原子を用いたテラヘルツ波帯での電界分布計測を行うために必要な可視光狭線幅レーザ(510 nm)用の干渉フィルタ型外部共振器の試作と動作確認を実施した。昨年度に設計した干渉フィルタの性能条件をもとに、干渉フィルタを細かい角度分解能で光軸上で掃引できる機構を取り入れた外部共振器の組み立てと評価を行った。作成した外部共振器により、レーザ発振と干渉フィルタへのビーム入射角による周波数粗調整掃引が可能であることを実証した。また、ピエゾ素子での共振ミラー長の可変による周波数の微調やペルチェ素子による温度安定機構も、必要とする仕様の範囲内で動作可能であることを確認した。作成した外部共振器レーザの基本性能や個体差などを評価するため、現在もう一台同じ外部共振器レーザを作成している。今後、これら複数台のレーザを用いて干渉系や波長計などによる線幅評価などの準備を進めている。 二つ目として、最終目標となるセシウム原子のRydberg状態における電磁誘起透明化現象の観測を実現するため、以下の点の改良を進めた。1.バッファガスなしのセシウムガスセルを試作した。2.ガスセル周辺の地磁気成分のオフセットを打ち消すために追加のヘルムホルツコイルの設計と試作を実施した。3.ガスセルにレーザを照射する部分の光学系をこれまでの近赤外用から可視光にも対応するように改良した。これらの測定系の改良に加えて上述する作成した外部共振器レーザを組み込んで電界分布の計測をするための測定系のセットアップが完了する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に実施した磁場分布のリアルタイムな放射パターン結像は反射板やダイヤモンドNV測定系で用いられる磁界アンテナの評価など新たな応用研究への展開が見えており、これらでの実証に向けた要素研究を平行して開始している。レーザ用外部共振器の開発は、昨年度の納期等の影響で遅れが生じていたものの、今年度で組み立ては終了し外部共振器による発振と周波数掃引が確認できた。総じて、研究全体の進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
組み立てが完了した外部共振器の基本性能評価を進める。性能指標として、波長計および数台のレーザによる干渉系での中心波長と線幅評価、長期安定度などを評価する。 レーザの評価が終了後、先行して試作しているCsガスセルおよびヘルムホルツコイルの測定系にレーザを追加し、最終目標となる電磁誘起透明化現象の観測に取り組む。 平行してカメラにより撮像する電磁波強度イメージング画像の妥当性比較評価のための電磁界解析による電界分布シミュレーション計算を開始する。
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