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複合放射場下での放射線源および遮蔽物質形状分布推定技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K04119
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分21030:計測工学関連
研究機関福島大学

研究代表者

山口 克彦  福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (30251143)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード放射性物質分布推定 / 放射線エネルギースペクトル / 機械学習 / 放射線 / モンテカルロシミュレーション / デブリ性状推定
研究開始時の研究の概要

本研究は、散在している放射性物質が放出する放射線を少し離れたところから測定することによって、どこにどんな種類の放射性物質があるのかを推定する技術を機械学習の原理を用いて開発しようとするものです。放射性物質だけでなく、更にその周りにある遮蔽物も、ちょうど放射性物質の放射線に照らされた影絵のように推定できると考えています。これまでは2次元の小さなモデルで検証してきましたが、本事業の予算を用いて3次元の広い範囲にも対応させながら推定精度の向上を図り、実用化を目指します。これらの成果は燃料デブリの性状把握や環境放射能の解析に利用されることが期待されます。

研究実績の概要

本研究の目的は、遠隔測定された放射線エネルギースペクトルデータおよび機械学習アルゴリズムを用いて、放射性物質の分布状況を精度よく推定できる解析システムを構築することにある。通常、機械学習では大量の学習データを入力して訓練する必要があるが、本研究では学習データをシミュレーションにより生成することにより、実際の測定では困難な多様なデータを準備することができる点が特徴である。本研究の成果は事故を起こした原子炉内の燃料デブリの様子や環境中に飛散した放射性セシウムの分布状況を知るために有用になると考えられる。
2023年度は前年度に進めてきた2次元に分散した放射性物質を対象とした基本モデルをもとに、3次元化への対応および欠損データがある場合の精度への影響を検証した。具体的には、3次元空間中に配置された放射性物質の位置特定を行うために、γ線エネルギースペクトルを検出する面を二重化し、放射線源からの広がりを認識させる手法の開発を進めた。これにより、奥行き方向の精度が向上することが検証されている。また、実際の原子炉周囲では配管などにより測定器が配置できない場所があることを想定し、検出面内の一部からγ線エネルギースペクトルデータを欠損させた上で推定を行っている。その結果、欠損エリアの面積増加に合わせて推定精度の劣化が見られたものの、その影響は線形性の範囲内であることが検証された。また1次元モデルではあるが、燃料デブリ収納缶を模した測定システムを構築し、本モデルの実用性を検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2次元モデルを3次元に拡張して用いる際に、当初奥行き方向の放射性物質分布を推定することが難しかったが、検出面を多層にすることにより精度を向上させることができている。ただし、現状ではシミュレーションデータに基づく検証であり、実際に測定データを得る際に複数の距離にある多点測定が可能かどうかは今後検証していく必要がある。そのような観点からも実測できる位置に制限がある場合に、どの程度放射性物質分布の推定精度が低下するかを検証しておくことは重要であったが、結果として精度は測定点の量に線形的に対応しており測定点数の減少により急激な精度低下を起こすものではないことがわかった。
合わせて放射性セシウムと放射性コバルトを1次元上に配置した模擬的なデブリ収納缶を実験室内に設置し、シミュレーションおよび測定データを用いて、その放射性物質分布推定を行った。その結果、ステンレス管内にある放射性物質においても分布推定が行えることが検証できた。
なお、前年度に開発した測定データのスペクトルとシミュレーションデータのスペクトルをマッチングさせるための変換フィルターを用いて精度の高い放射性物質分布推定ができるモデルを対象とした特許出願を行うことができた。

今後の研究の推進方策

3次元に配置された放射性物質分布推定を実際の測定データを用いて行い、その推定精度を検証していきたい。そのために、今年度に放射性物質を1次元上に配置して検証した模擬デブリ収納缶を拡大し、直径を3倍にした管内での放射性物質の平面移動も含めた測定系を立ち上げる。この比較的1次元要素の強い実験系を対象モデルとして、収納缶長手方向から垂直に十字配置された4つのNaIシンチレーションスペクトロメータの間を長手方向に自動移動できる測定システムを立ち上げる。その上で、収納缶内に放射性物質に追加して遮蔽体を複数配置した状態で、測定データから放射性物質分布推定が行えるかを検証する。
更に、NaIシンチレーションスペクトロメータの配置を十字から非対称な位置に変更し、奥行き方向の精度を上げることができるか検証する。
また、これまでのモデルは数十cm幅の体系であるが、より広域に配置された放射性物質を念頭にして対象サイズの拡大を行い、実機に近づけた条件での検証を行う。その際にシミュレーションにおいて設定されるメッシュサイズを大きく取ることで学習データの増大を抑えながら、放射性物質分布推定における空間分解能の精度にどの程度の影響が出るのかも検証する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Fundamental study on magnetohydrodynamic simulation method using deep learning2023

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Masaharu、Suzuki Kenji、Yamaguchi Katsuhiko
    • 雑誌名

      日本シミュレーション学会英文誌

      巻: 10 号: 1 ページ: 144-163

    • DOI

      10.15748/jasse.10.144

    • ISSN
      2188-5303
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 深層学習を用いた静電場シミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      相良 翼、松本 正晴、鈴木 健司、山口 克彦
    • 雑誌名

      日本シミュレーション学会論文誌

      巻: 15 号: 1 ページ: 20-26

    • DOI

      10.11308/tjsst.15.20

    • ISSN
      1883-5031, 1883-5058
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 放射線場解析のためのAIシミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      山口克彦,松本正晴,近藤勇斗,鈴木健司
    • 雑誌名

      シミュレーション(日本シミュレーション学会誌)

      巻: 42 ページ: 25-30

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Estimating radiation source distribution from measured γ-ray energy spectra2023

    • 著者名/発表者名
      Katsuhiko Yamaguchi, Yuka Kumada, Taiyo Sato, Yuto Kondo, Kenji Suzuki and Masaharu Matsumoto
    • 学会等名
      The 42nd JSST Annual International Conference on Simulation Technology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] γ線エネルギースペクトルを用いた機械学習による放射線源分布推定2023

    • 著者名/発表者名
      熊田有華、佐藤大耀、近藤勇斗、高瀬つぎ子、松本正晴、山口克彦
    • 学会等名
      日本原子力学会 2023秋の大会(名古屋大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コンプトンカメラの精度向上のための推定手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      大堀祥己、鳥居建男、高瀬つぎ子、山口克彦
    • 学会等名
      日本原子力学会 2023秋の大会(名古屋大学)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ESTIMATION OF RADIATION SOURCE DISTRIBUTION IN FUEL DEBRIS STORAGE CANISTER2023

    • 著者名/発表者名
      Katsuhiko YAMAGUCHI, Yuka KUMADA, Taiyo SATO, Yuto KONDO, Tsugiko TAKASE, Kenji SUZUKI, Masaharu MATSUMOTO
    • 学会等名
      21st International Symposium on Applied Electromagnetics and Mechanics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] THREE-DIMENSIONAL EXTENSION FOR MACHINE-LEARNING METHOD OF ESTIMATING RADIATION SOURCE DISTRIBUTION2023

    • 著者名/発表者名
      Yuto KONDO, Masaharu MATSUMOTO, Kenji SUZUKI, Katsuhiko YAMAGUCHI
    • 学会等名
      21st International Symposium on Applied Electromagnetics and Mechanics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Location estimation of radiation source using NaI spectrometer2022

    • 著者名/発表者名
      Katsuhiko Yamaguchi , Sota Suga , Yuka Kumada , Yuto Kondo , Kenji Suzuki , Masaharu Matsumoto
    • 学会等名
      The 41st JSST Annual International Conference on Simulation Technology
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 機械学習を用いた遮蔽体分布の凝集度に対する推定精度の検証2022

    • 著者名/発表者名
      近藤勇斗,松本正晴,鈴木健司,山口克彦
    • 学会等名
      日本シミュレーション学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] コンプトンカメラを用いた放射線源位置の推定シミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      大堀祥己,山口克彦
    • 学会等名
      日本シミュレーション学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層学習を用いた静電場シミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      相良 翼,松本 正晴,鈴木 健司, 山口 克彦
    • 学会等名
      日本シミュレーション学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械学習を用いたγ線エネルギースペクトルからの放射線源分布の推定2022

    • 著者名/発表者名
      菅蒼太.近藤勇斗.熊田有華.高瀬つぎ子.山口克彦
    • 学会等名
      日本原子力学会 2022年秋の大会(
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械学習を用いた放射線源分布の推定2022

    • 著者名/発表者名
      近藤勇斗、山口克彦
    • 学会等名
      第8回次世代イニシアティブ廃炉技術カンファレンス(NDEC-8)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [産業財産権] 機械学習を用いた放射線源分布推定システム2023

    • 発明者名
      山口克彦、熊田有華
    • 権利者名
      福島大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2023-128165
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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