研究課題/領域番号 |
22K04121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
菊池 博史 電気通信大学, 宇宙・電磁環境研究センター, 准教授 (40783105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 気象レーダ / 地上降雨量 / 地上雨量計 / 地上雨量推定 / 高解像度化 / 圧縮センシング / 降雨観測 / フェーズドアレイ気象レーダ / 適応型信号処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,三つの研究課題に相補的に取り組む.一つ目は気象レーダの固有の欠点を解決する鉛直方向の分解能の向上を目的として,新たな適応信号処理を検討し,実用可能なディジタルビームフォーミング手法として発展させる.二つ目はレーダ雨量と地上降水量との誤差を最小化するために、欠点である水平方向の地上雨量計のデータ点の不足を信号処理技術の圧縮センシングや機械学習を応用した信号処理アルゴリズムを用いて空間的に補間(予測)するアルゴリズムの開発を行う.三つ目はレーダ雨量の高精度化を目的としてレーダデータから雨量に変換する際の関係式(Z-R関係式)をリアルタイムに更新するアルゴリズムの開発を行う.
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研究実績の概要 |
本課題では、三つの研究課題に相補的に取り組む.一つ目は気象レーダの固有の欠点を解決する鉛直方向の分解能の向上を目的として,新たな適応信号処理を検討し,実用可能なディジタルビームフォーミング手法として発展させる.二つ目はレーダ雨量と地上降水量との誤差を最小化するために、欠点である水平方向の地上雨量計のデータ点の不足を信号処理技術の圧縮センシングや機械学習を応用した信号処理アルゴリズムを用いて空間的に補間(予測)するアルゴリズムの開発を行う.三つ目はレーダ雨量の高精度化を目的としてレーダデータから雨量に変換する際の関係式(Z-R関係式)をリアルタイムに更新するアルゴリズムの開発を行った。逐次的に最適なパラメータを導出する新たな降雨強度推定手法の提案と, 従来手法との比較検証を行い提案手法の評価を行った. 解析事例において, 提案手法は, 地上降水量との誤差が低く, 0.76[mm/h]高精度に推定できることを示した.また, 新型雨量計開発の初期検討を行なった. 本研究では雨量計の簡易化・高時間分解能が達成された. 実験事例において, 降雨強度と新型雨量計の降雨強度との間に非常に強い相関関係があった.さらに、豪雨検知の防災への利用を目的として,豪雨などの災害を起こしうる降水強度の閾値への到達を予測した。そのために,本研究では MP-PAWR 観測データに対して機械学習を用いた豪雨予測アルゴリズムを提案し,MP-PAWR で観測される積乱雲の鉛直構造を降水セル毎に抽出し,積乱雲単位で豪雨予測を行うアプローチによって,局地的な対流性降雨を予測する手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は分解能の向上を目的としたビームフォーミング処理手法として、圧縮センシングを応用した高解像度化を検討する初期検討について評価を行い,実現可能性を示した。一方で、フェーズドアレイの特徴である複数の位相基間で起こる位相誤差がビーム形成に与える影響が大きいため、この点に関しては今後の検討課題である。さらに、レーダ雨量の換算式をリアルタイムに更新するアルゴリズムについて開発を行い,評価・有効性の検討を行った。結果として、提案手法は地上降雨量の高精度化に寄与することを証明した。 一方で、現在の地上雨量計のデータを利用していることから、時間・空間分解能の低さがボトルネックとなっていることから新たな高精度地上雨量計の開発を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
レーダ雨量の高精度化を目的としたレーダデータから雨量に変換する際の関係式(Z-R関係式)をリアルタイムかつ積乱雲の特徴によって導出することによって、高精度に地上雨量の推定が可能となった一方、地上雨量計を用いた方法は、その疎な観測域と低時間分解能がボトルネックとなっていることから、新たな高空間、高時間分解能を実現する地上雨量計の開発が必要となった。その初期検討として簡易な地上雨量計を設計開発する。 更に、疎な地上雨量計のデータを密にするために機械学習及び圧縮センシングの技術を応用した信号処理的アプローチを推進する。 ビーム形成手法については理論的には確立されてきたものの実際の適用には位相誤差の影響が大きく困難となっていることから、誤差を低減し、提案しているビーム形成手法を適用した場合に理論値に近づける統計学的アプローチを検討する。
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