研究課題/領域番号 |
22K04127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
伊與田 浩志 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10264798)
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研究分担者 |
阿部 恒 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (20356372)
増田 勇人 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90781815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 湿度標準 / 過熱水蒸気 / 飽和槽 / バブリング / TDLAS / 高露点 / 小型化 / 凝縮法 / 湿度計測 / 不確かさ解析 |
研究開始時の研究の概要 |
過熱水蒸気/高濃度水蒸気(高温高露点の湿潤空気)は、電気・電子部品の加速耐久試験、農・水産物の乾燥・加工工程、樹脂の熱処理などで広く利用されており、効率化の観点からより高濃度・高安定の水蒸気が求められている。本研究では、研究代表者らが開発した過熱水蒸気混合法を用い、露点85 ℃~100 ℃の範囲の高濃度水蒸気を、流量制御に基づいて比較的簡易かつ安定的に発生させる技術を開発する。 さらに、従来法とは異なり気相中の水蒸気の移動現象を利用せず直接計測できる、レーザ吸収分光法に基づく高濃度水蒸気の計測法を開発する。これら二つの手法を軸として、高濃度水蒸気の高効率利用のための制御・計測技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,大気圧の過熱水蒸気,あるいは,高濃度で水蒸気が含まれている空気の利用技術向上を目的としており,高濃度で水蒸気が含まれている気体の水蒸気濃度(湿度)を測定する方法,並びに,その測定精度を検証するための技術開発を行うものである. 初年度つづいて,湿度計の測定精度の検証に使用する標準ガス(標準湿度)の発生装置の改良と,波長可変半導体レーザ吸収分光法(TDLAS)を用いた湿度計測法における光学系および信号処理方法の改良を行った. 本研究では,露点温度95℃以上を扱うために,報告者らが提案している過熱水蒸気混合法による発生装置の開発を進めている.これまでの研究開発で,同方法は露点温度が80℃以上で安定した湿度を発生させることができることを示した.また,低い露点温度では流量計の測定精度が発生露点に直接影響するため,レンジの異なる2つの流量計を用いる工夫をする一方,装置の構造の複雑化を避け使いやすさも維持するため,露点温度60℃以下では,ボイラをバブリング装置(飽和槽)と兼用する新たな方法を提案してきた.令和5年度は,令和5年度の後半に研究室の移転(引っ越し作業)が行われるため,まず,湿度発生装置を,小型で運搬も行いやすい装置として改良をすすめた.令和6年4月に移転先での同装置の試験的な立ち上げ作業と精度評価を行った結果,一部センサの故障がみつかったが,概ね移転前と同等の精度で湿度が発生できていることを確認した.一連の作業の中で,装置運搬における課題についても明確化することができた.また,速報的ではあるが,高露点域でTDLASによる湿度測定が移転前と同等の精度で測定できることも確認した.移転に伴い実験が行えない間は,TDLASの信号処理の方法,装置構造の改良について検討しながら,次年度にむけて湿度発生装置・湿度測定装置ともに改良するための指針を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は大学統合に伴うキャンパス移転が実施された.スケジュールや実験室の整備が移転の直前まで具体化できないことが年度初めに把握できたために,装置改良は移転に向けた対応を中心に計画変更し,湿度測定に用いるキャビティの改良・予備試験は移転後に実施することにしたため,やや研究計画に変更が生じ学会発表等は控えざるを得ない状況となった.しかしながら,それに代わる知見も得られたために,全体としては研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,露点温度0℃~100℃までの湿度発生が可能な装置の開発再開し,また,TDLASによる湿度測定の広域化とその検証を目指す.当初,減圧による低露点域の検証方を検討していたが新たに製作したテストチャンバー部分の密閉性が問題になる可能性があることから,予備的な検討として,冷却による低湿度域の湿度発生およびTDLASによる測定検証を実施することを予定している. また,昨年度の研究成果から,露点(湿度)域に応じてTDLASの信号処理の条件を変更することが必要であること,かつ,信号の制御と処理を自動化できる可能性もあることが判明したため,TDLAS測定に関しては,新たな制御アルゴリズムの導入と信号処理系の工夫を行うことを,電子回路と処理プログラムの開発とともに予定している.また,開発中のTDLAS装置,湿度の発生装置(校正装置)ともに小型でかつ0℃以下の低温から200℃以上の高温での測定が原理的に可能であることから,冒頭の広い露点域に加えて,広い温度域での湿度測定の実証実験も計画している.
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