研究課題/領域番号 |
22K04129
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
|
研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
西山 道子 創価大学, 理工学部, 准教授 (60509769)
|
研究分担者 |
井川 寛隆 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (10358690)
渡辺 一弘 創価大学, 理工学部, 教授 (40240478)
関 篤志 創価大学, 理工学部, 教授 (70226629)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 光ファイバセンサ / ヘテロコア構造 / 水素ガス検出 / 腐食検出 / マルチモーダル / 表面プラズモン共鳴 / 水素航空機 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、低炭素社会に貢献する水素航空機の運用効率化のための多機能ヘテロコア光ファイバセンサシステムの実現を目指す。水素燃料の航空機で安全確保には、電気スパークフリーの光式水素ガスセンサが必須である。ヘテロコア光ファイバセンサは、LED光源の光強度だけの計測で、水素ガスをはじめ多くの物理量を検知する多機能センサで、機械的に頑健で、温度依存性が無く、環境変動の大きい航空機内でも利用できる実用性を併せ持つ。 航空機運用環境を想定しエンジンの異常検知の加速度センサと温度センサ、金属機体構造腐食を観測する湿度・結露センサと、多種の情報を取得できるマルチモーダル光ファイバセンサシステムを構築する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、水素ガスリーク、温度、湿度・腐食、加速度を検出するセンサを、ヘテロコア光ファイバで開発し、これらの多種の情報を取得できる実用性の高いマルチモーダル光ファイバセンシングシステムを確立することで、水素航空機の運用効率化の実現を目指している。 2023年度前半では、ヘテロコア光ファイバによるパラジウムナノ粒子を用いた水素センサの高感度化に取り組んだ。局在表面プラズモン共鳴を利用することで水素ガス急増に伴う、わずかな変化も鋭敏に検出できるため、水素感受材料であるパラジウムナノ粒子の付着量を増加させることで、更なる感度向上が期待される。そのために、高分子材料を用いた交互積層多層膜によって、パラジウムナノ粒子の固定化量の制御と増加を可能とした。その結果、これまで開発されているヘテロコア光ファイバ水素センサの感度向上を実験的に明らかにした。 2023年度後半では、金属腐食検出センサの性能評価として、昨年度開発されたアルミニウム薄膜をAu/Ta2O5多層膜の外周に成膜し、その外周のアルミニウム腐食の過程を、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したヘテロコア光ファイバ腐食センサを、水酸化ナトリウム水溶液のpHの違いによる腐食過程の評価を実施した。pH値の異なる溶液による腐食過程の違いを検出可能であることを実験的に示された。 以上の実験を、LED光源による光測定器を用いて実施されたため、LEDを複数チャンネル使用することでマルチモーダル光ファイバセンシングが可能であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【LED光源での光ファイバマルチモーダル光計測システムの開発】これまで開発されているヘテロコア光ファイバ水素ガスセンサ、加速度センサ、腐食センサをLED光源による光計測の方法を確立した。また、水素センサに関しては、LED光源による計測において、常温大気圧下での経年に対する耐久性の評価を行った。水素感受性膜のパラジウム成膜方法を改善することで、水素ガス応答性を維持しながら、従来のヘテロコア光ファイバ水素ガスセンサより経年耐久性を向上させる結果を得た。同一線路上でセンサの多重化については未検討であるが、LED光源による複数チャンネルの同時計測について可能であることは確認された。センサ多重化において、信号対雑音比の低下が懸念されていたが、複数チャンネルの同時計測によって十分にセンシング可能であることが確認された。したがって、マルチモーダル光計測システムの実行可能性は達成された。
|
今後の研究の推進方策 |
前述の通り、2023年度の研究計画の予定は概ね完了した。2024年度で計画をしていた、LED小型計測器によるセンサ性能評価を実施する。また、航空機環境を想定した、高温・低温・高湿度環境試験を実施し、環境耐久性の評価を行う。この試験において、環境耐久性向上が必要と認められた場合、センサ感受性膜を外部膜による保護を検討する。また、加速度センサの筐体カバー部の温度影響を除去する構造の検討を行い、実用的な光ファイバマルチモーダルシステムの検討と評価を行う。
|