研究課題/領域番号 |
22K04130
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
廿日出 好 近畿大学, 工学部, 教授 (90339713)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 超音波ガイド波試験 / 渦流探傷試験 / 電磁石 / 非破壊検査 / ロボット / ガイド波試験 / 複合検査 / 自動検査ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、保温材の上から配管を全検査する技術と、これを用いた革新的な自動検査ロボットを提案する。この検査技術は鉄鋼配管自身の磁歪効果を利用し、長距離伝搬する超音波ガイド波を電磁的に送受信する技術をベースとし、これにより検出した欠陥を、渦流探傷により精査することで、非接触で保温材下の腐食等欠陥を検出する。実施計画として、令和4年度に、非接触ガイド波送受信技術の開発・評価、渦電流検査技術の開発・評価、を行う。令和5年度に開発した装置モジュール化とロボットへの導入、を行って自動検査ロボットプロトタイプを開発し、令和6年度に保温材下配管への適用・装置評価を実施する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、令和5年度には、③開発した装置のモジュール化とロボットへの導入を行った。令和4年度には、超音波ガイド波試験および渦流探傷試験が行える2個のコの字電磁石を組み合わせたプローブを開発し、その非破壊検査における性能・適用可能性を調査した。令和5年度には、このプローブを、クローラーをもつ台車ロボットにマウントして、移動してガイド波検査と渦電流探傷を行う装置を開発した。配管を当初のターゲットとしていたが、予算の関係から本研究では対象を板材とした。これは、配管を展開すると板材となり、配管でのガイド波および渦流探傷試験と、配管を展開した板材での試験では同様の結果が得られるからである。ロボットにはArduino系マイコンをマウントして、ロータリエンコーダから台車の位置を読み取ることで、ガイド波受信分布や渦電流応答マップを作成できるシステムを開発した。 本装置をニッケル板を初期のサンプルとし、非貫通欠陥を設けた。本サンプルに対して、上記装置を適用して、まず超音波ガイド波試験を行って、サンプルの長手方向における欠陥位置を検出した。この際、複数のプローブを配列することで、サンプルの長手方向に均一なSHガイド波を発生させた。欠陥反射波がプローブによって測定され、ガイド波の伝搬速度から、非貫通の欠陥のサンプルの長手方向における欠陥位置を検出することができた。次に、検出した位置付近の渦電流応答分布を台車ロボを移動させて測定した。欠陥が板の面にある場合と裏にある場合、渦電流応答分布から得られたリサージュ波形は異なっており、本装置により、欠陥の長手方向位置だけでなく、欠陥の形状や幾何学的な情報が得られることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画では、令和5年度は、③開発した装置のモジュール化とロボットへの導入を計画していたが、上記の概要の通りほぼ予定通り進展した。 研究では、コの字型フェライトコアを鉄心とする電磁石のペアの配列を、クローラーをもつ台車ロボットにマウントして、移動してガイド波検査と渦電流探傷を行う装置を開発した。クローラーにロータリーエンコーダをもつロボット台車にArduino系マイコンを配置し、台車の位置を読み取り、ガイド波受信分布や渦電流応答マップを作成できるシステムを開発した。本装置はリモコンで操作し、プログラミングにより自動制御も可能となる。板サンプルに欠陥を設けて検査デモを行い、ガイド波によって欠陥の位置検出だけでなく、渦流探傷による欠陥サイズや発生位置に関する情報が得られることを示した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、令和5年度に開発した装置を用いて、保温材下配管を模擬した表面カバーされた板サンプルの欠陥検出への適用可能性を検討する。人工欠陥をもつ板サンプルについては、開発した装置で検査が可能であることを前倒しで令和5年度に示した。令和6年度は、自然欠陥(腐食など)に対する装置オン検出性能を評価する。これを通じて装置のブラッシュアップを行い、共同研究を行なっている企業と現場での検査実施可能性について検証を行い、装置の総合的評価を行う。装置の実用化に必要な課題等を抽出して研究を総括する。
|