研究課題/領域番号 |
22K04135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
野村 英之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90334763)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 音響放射圧 / 振動 / 過渡応答 / 音響イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
医療現場では超音波エコー法で体内の観察が行われる.一方,超音波エコー法は病状の進行度評価や,断層像の取得が不得意である.本研究では音波による直流的な力である音響放射圧を利用し,病状の進行度を力学的特徴で表す超音波断層像撮影システムを開発する.そのために(1)物体内の特定位置のみを超音波の放射圧で加振する技術,(2)放射圧加振によって過渡振動応答を発生させる技術,(3)過渡応答から共振周波数と減衰時定数,弾性率,粘性率といった力学特徴量を推定し,画像化する技術の確立を行う.超音波エコー法が病変位置のみを示すのに対し,本手法の実現は病状進行度の断層像取得を可能にする.
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研究実績の概要 |
音波による直流的な力である音響放射圧を用いた超音波画像法として、Vibro-acoustogrpahy (VA)法がある。VA法は変調超音波による動的放射圧 加振によって対象を振動させ、そこからの音響放射をハイドロホン(水中用の音響センサ)で取得する方法である。本研究はVA法を応用し、医療分野における人体内部の力学的特性の定量的超音波断層撮影システムの開発目指す。プロトタイプ開発にあたり、(1)集束超音波による音響放射圧で、固体内部の特定位置を局所的に加振する方法、(2)放射圧加振による過渡応答から共振周波数と減衰特性を取得、さら振動から弾性率や粘性率といった力学的特徴を推定する方法の実現を目指す。 2022年度は、過渡応答法(提案法)と定常応答法(従来法)の比較を行い、提案法が対象物の特徴を計測するのに適当かどうかの実験的評価を行った。2023年度は音響放射圧加振時の音響流の影響についての検討、さらに取得した過渡応答信号解析から得られる共振周波数を使った画像化の検討を行った。 まず、音響流の流速計測を行った。次に薄膜を設置し、音響流の遮断の有無による水面変位を計測した。その結果、現状の測定条件において、音響流は最大で10%程度の影響を与えることがわかった。ただし、同程度の測定の不確かさも見込まれるため、結果に含まえる影響には慎重な判断が必要である。 次にアルミニウム箔を対象物として、提案法による画像化を試みた。信号の取得はレーザドップラ振動計を用いた。得られた過渡応答信号を解析し、含まれる共振周波数を抽出した。加振点を2次元走査し、共振周波数による画像を得た。その結果、パルスエコー法では得ることが難しかった、スリットの画像化を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、専用音源の開発を行い、固体内部の可視化を計画していた。実際に音場予測などから最適な音源の設計を試みたが、望み通りの音場をえることができず、見送ることとした。その代わりに、過渡応答信号がら効率的に共振周波数を抽出する方法を実現した。以上の理由から、現状では「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)固体内部の評価を検討する。(2)過渡応答信号から特徴を抽出するためのアルゴリズムと信号処理方法を実装する。(1)シリコーンラバーを対象として、内部の加振と信号取得を検討する。さらに画像を行う。特に信号取得を方法を対象物の限られるレーザドップラ振動計ではなく、より一般的なハイドロホンを用いた手法を検討する。(2)得られた信号を自己回帰分析することで、共振周波数、時定数を抽出する。そのための最適な係数の次数などを検討し、処理システムを構築する。最終的には、これらを統合し、画像化システムを構築し、総合的な評価を行う。問題点を改良し、プロトタイプを作成する。
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