研究課題/領域番号 |
22K04139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松永 真由美 静岡大学, 工学部, 准教授 (30325360)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 電磁波計測 / ミリ波共振 / 励振プローブ / 初期虫歯 / 表層下脱灰 / アンテナ / 電波伝搬 / ミリ波 / 電波応用計測 / 電波伝搬解析 / 数値計算モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電波の共振現象を用いて表層下脱灰の脱灰度を定量的に計測する手法を提案する。共振現象を用いた電子材料等の電気特性計測は信頼度が高い。しかし、厳密に共振を発生させる装置が必要であった。歯は生体の一部であるため、金属壁で全体を囲む共振装置の利用はできない。したがって、共振を用いた測定を行う事は非常に困難と思われている。そこで本研究では、歯の構造特性をいかした共振計測法と共振を促す励振方法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、電波の共振現象を用いて表層下脱灰の脱灰度を定量的に計測する手法を提案することを目的としている。 今年度は、共振を用いた測定を行うための初期ステップとして計画した「シミュレーションに必要な歯の数値計算モデルの構築」を国内外の文献調査により主に行った。具体的には、文献調査により得られたエナメル質や象牙質、そして、それらに形成された表層下脱灰部位の複素誘電率を用いて歯の数値計算モデルの構築を行った。更に「計測に有効な共振器および励振方法の数値シミュレーションによる検討」を構築した数値計算モデルを用いて行った。最後に、効率の良い励振をもたらすプローブアンテナの検討及び試作、そして性能評価を行った。上記の検討の結果、ミリ波帯の周波数を用いた計測が本課題の解決には有効であり、また、複数の周波数および複数の励振モードを組み合わせることで、エナメル層や象牙層の脱灰程度を推定できることが分かった。これらの検討の結果、文献調査による歯を構成する詳細な部位の複素誘電率の取得には、これらの研究に携わる研究者とのコンタクトが必要であること、また、研究代表者自身も何らかの方法でこれらの情報を実測する必要性があることがわかった。また、初期の数値計算モデルにおいては、歯の詳細な外形情報を用いなくても、本研究課題の解決に必要な検討が十分出来ることが分かった。最後に、研究代表者がこれまで発明してきたアンテナが、励振用ブローブアンテナとして有効であることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に準じて順調に研究が進展している。以下に、研究遂行状況の具体的説明および遂行中に明確になった課題について説明する。 (1)歯や周囲の人体部位の複素誘電率情報は様々な文献等で得られた。しかし、歯に関する電気的特性については、ここ数年になって関心が高まっている状況で、得られる情報も少なく、またその信頼性についても確認が困難であることが分かった。特に、歯を一つの部位として取り扱いその複素誘電率を明示している研究結果は多くても、エナメル層や象牙層、そして、表層下脱灰になった部分の複素誘電率に関する研究成果は極めて少ない。実測データを何らかの方法で得る必要がある。 (2)歯の数値計算モデルの構築を行う事ができた。現状は、歯の表面のラフネスについては考慮していないが、ラフネスをどの程度考慮すべきかが今後の課題である。 (3)使用周波数は、上記の(1)や(2)の検討結果から、ミリ波が適当であることが分かった。そこで、ミリ波の励振用アンテナ(プローブ)を検討し、実際に試作も行った。試作したプローブは、近傍界測定を行いその性能を評価した。今後は、歯のファントムモデルと組み合わせて実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況を鑑み、今後は当初予定していた課題と、検討中に必要と考えた課題を加えて以下の順序で実施していく。 まず、これまで行ってきた調査に加え、更に詳細に歯を構成しているエナメル層や象牙層、そして脱灰部位の複素誘電率の調査収集を行う。また、これまでに構築した歯の数値計算モデルへ反映し改善を行う。 次に、構築した数値計算モデルを用いて、引き続き計測に有効な共振器および励振方法の数値シミュレーションによる検討を行う。例えば、共振モードにより共振が起こる部位が違う事を利用し、脱灰の程度と脱灰範囲を推定する手法を提案する。 最後に、複素誘電率が類似する材料で歯の物理ファントムを製作し実証実験を行う。
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