研究課題/領域番号 |
22K04142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
八野 知博 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (50284906)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 計測工学 / 制御工学 / システム工学 / システム同定 / ガウシャンプロセスモデル / Hammersteinシステム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、Hammersteinシステムを対象とし、進化型ガウシャンプロセスモデルによる簡便で高精度なシステム同定アルゴリズムを提供することを目的としている。本研究の特徴は、同定用入力信号の印加方法を工夫して非線形静的部の推定と線形動的部の推定が分離された二段階同定アルゴリズムを導出する点である。シミュレーション実験により、本研究による同定アルゴリズムは従来の干渉型の同定法と比べて簡便で、非線形静的部の信頼性の情報まで推定でき、高精度でありながら計算負担を低減できることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、Hammersteinシステムを対象とし、進化型ガウシャンプロセスモデルとベイズ推定の協調による、簡便で高精度なシステム同定アルゴリズムを提供することを目的としている。本年度は、離散時間Hammersteinシステムを対象とし、同定用入力信号の印加方法を工夫して非線形静的部の推定と線形動的部の推定を二段階に分離することにより、簡便かつ高精度な二段階同定アルゴリズムを導出した。具体的には、第1段階で複数個の一定値信号に対する定常出力値を計測し、これらの定常値入出力データを用いて、進化型ガウシャンプロセスモデルの学習により対象システムの非線形静的部を推定する。次に第2段階で対象システムに新たな持続振動的入力信号を加えてその出力を計測した後、第1段階で推定済みの非線形静的部を用いて、ガウシャンプロセスの枠組みで対象システムの中間信号を推定し、推定中間信号と出力値から対象システムの線形動的部を推定するアルゴリズムである。開発した同定アルゴリズムを計算機上で実現するため、MATLABコード化も行った。入力部に非線形増幅器を有する直流電動機を離散時間Hammersteinシステムに見立てたシミュレーション実験により、本同定法では、従来の一括同定法と比べて同等の同定精度を保持しつつ、同定に要する計算時間を大幅に短縮できることを明らかにした。また、線形動的部の次数を上げていっても同定精度には劣化が見られないことも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究実施計画のほとんどの項目を実施し、その一部は学術講演会で公表できていることから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の研究において、離散時間Hammersteinシステムを対象とした進化型ガウシャンプロセスモデルに基づく二段階同定の基礎的なアルゴリズムを構築できたことから、今後は、この同定精度をさらに改善していく方向で研究を推進していく。具体的には、雑音に乱された同定用入出力データに対するフィルタリングの検討、ガウシャンプロセスモデルの学習に用いる最適化アルゴリズムの検討、などを行っていく。また、他の実際的な離散時間Hammersteinシステムの例に基づいて詳細なシミュレーション実験を行い、その同定精度と計算負担の検証を行う。さらに、双一次変換とローパスフィルタに基づく連続時間Hammersteinシステムの二段階同定アルゴリズムを開発し、基礎的なシミュレーション実験によりその同定精度や計算負担を確認していく。
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