研究課題/領域番号 |
22K04144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
今池 健 日本大学, 理工学部, 准教授 (10548093)
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研究分担者 |
菅野 翔太 日本大学, 理工学部, 助手 (70875062)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | QCM / ディジタルダウンコンバージョン / 相関処理 / ADC / 水晶発振器 / 瞬時周波数計測 / 位相雑音 / QCM / ADC / 瞬時位相 / SDR |
研究開始時の研究の概要 |
QCMは数ナノグラム以下の微小質量の変化を周波数変化として検出可能なことからバイオセンサやガスセンサに利用されており,さらなる高感度化が望まれている. 本研究では従来の周波数カウンタを用いたQCM計測よりもはるかに短時間で高精度に計測可能なフルディジタル位相検出型QCMの性能を更に向上させる.QCMの性能向上によってこれまでよりも少ないサンプル量でのバイオ測定や,より希薄なガスの検知などが可能となりQCM計測の応用範囲拡大が期待される.
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研究実績の概要 |
水晶振動子の共振周波数変化を利用して電極上に付着した物質の質量を数ナノグラムから数ピコグラムで検出可能なQCM(Quartz Crystal Microbalances:水晶振動子微量秤)は安価なセンサとして近年多く利用されている.QCMのさらなる高感度化が実現できれば,数ppbまたは数pptといった極めて希薄な大気中の汚染物質測定や毒性ガス漏洩の検出等の用途に応用でき,環境モニタリングコストの大幅な削減が期待できる. 令和5年度は前年度に引き続き次世代QCMである全ディジタル位相検出型QCM(FDPD-QCM)の更なる高感度化について研究を実施した.FDPD-QCMの性能は,QCMセンサから得られる信号を取り込むADコンバータ(ADC)によって決まるため,高分解能で低雑音なADCを使用することが有効である.しかしQCMの信号周波数帯となる数MHz~数百MHzの信号に対応したADCでは,実効的な振幅分解能が12ビット程度にまで低下するため,周波数雑音が重畳されFDPD-QCMの周波数測定精度が劣化する.これを改善するためには複数チャネルのADコンバータを用いて発振信号を取り込み,その後の信号処理によって周波数雑音を低減する手法が有効である.令和4年度の研究成果では,使用するADCの数を2倍にすることで周波数雑音電力を1/2倍に改善することを実証した一方,この手法がどのようなADCに対しても有効であるかという点については明確ではなかった.そこで令和5年度はADCの数を4倍にした場合について検証をした結果,ADCの数を4倍した場合に周波数雑音を1/4倍に改善できる場合と,元々のADCの性能からほとんど改善されない場合があることを示し,その原因を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は2つの手法によってFDPD-QCMの超高感度化を実現することが目的である.2つの課題とは「ADCの並列化と相関処理の組み合わせ」および,「QCMの高周波化とアンダーサンプリングの組み合わせ」であり,前者については昨年度よりもさらに性能を向上できることを明らかにし,IEEE Instrumentation & Measurement Society Japan Chapterにて報告を行った.一方,後者については高周波化とその周波数に対応した回路系構築に遅れが生じているため研究全体を通しては遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
QCMセンサ回路自体の高感度化を実現するために,従来の基本波発振信号のみを使用するのではなく,新たな方式として歪み波の高調波信号を抽出しそれを利用した場合の効果について検証する.また3次,5次等のオーバトーン発振をさせたQCM回路を作製し,基本波による測定結果と比較を行う.これによってサンプリング定理を超えた発振周波数になる場合は,ADCをアンダーサンプリングさせて実験を行うほか,高調波またはオーバトーンを利用した発振器と既に有効であることを示した手法であるADCの並列化・相関処理の組み合わせによって当初の研究目的を達成する.
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