研究課題/領域番号 |
22K04167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高井 重昌 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60243177)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 制御工学 / 離散事象システム / スーパバイザ制御 |
研究開始時の研究の概要 |
現実の多くのシステムは,事象の生起をきっかけとして,その状態が遷移するといった,事象駆動的側面をもつ.離散事象システムは,そのような事象駆動型システムの総称であり,交通システム,通信システム,生産システムなどがその例としてあげられる.通常,離散事象システムはあらかじめ定められた動作をすることが求められ,そのための制御系を設計する必要がある.本研究は,数学に基づく数理的手法により,そのような制御系の設計理論の構築を目指したものである.
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研究実績の概要 |
実システムの多くは時間に関する制約のもとで動作するリアルタイムシステムとみなせる.本研究では,非決定性オートマトンでモデル化されたリアルタイムシステムとその仕様に対するスーパバイザ制御理論を確立することを目的としている.一方で,現実の多くのシステムはネットワーク化され,分散的に制御・管理されている.このようなシステムのネットワーク化に対応できる分散スーパバイザ制御理論の確立も喫緊の課題である. 複数のローカルスーパバイザから構成される分散スーパバイザ制御系においては,各ローカルスーパバイザがローカルな観測情報に基づき,制御に関するどのような判断を下すのか,各ローカルスーパバイザが下した判断をコーディネータがどのように統合し,制御動作を決定するのか,といったことを定める必要がある. そこで本研究では,スーパバイザによってその生起を禁止することができる可制御事象に対して,各ローカルスーパバイザがローカルな観測情報に基づき,その可制御事象を禁止すべき状態の推定,もしくは許可すべき状態の推定を行い,コーディネータはローカルスーパバイザの推定の交わりをとり,それが空か否かによって制御動作を決定するような分散スーパバイザ制御系について考察し,以下の成果が得られた. まず,このような分散スーパバイザ制御系において,与えられた制御仕様が満足されるための必要十分条件を明らかにした.そして,その条件が満足されるか否かを検証する方法を開発した.さらに,従来研究で提案されていた分散スーパバイザ制御系と本研究で考察した分散スーパバイザ制御系との比較を行い,従来の分散スーパバイザ制御系では満足されなかった制御仕様が,本研究で考察した分散スーパバイザ制御系において満足される場合を示した. この成果は、オートマトンでモデル化されるようなシステムに対する分散制御系設計の基礎理論の構築に貢献するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度では,時間付き非決定性離散事象システムとしてモデル化された制御対象とその仕様に対して,双模倣制御問題の解となるスーパバイザが存在するための必要十分条件を導出し,導出した条件の検証およびスーパバイザの構成のための計算量を解析することを,令和5年度では,双模倣制御問題の解となるスーパバイザが存在しない場合において,制御された対象システムの振舞いが仕様に模倣されることのみを要求する模倣制御問題について考察することを予定していた. 実際には,令和4年度では,時間の経過をモデルに含めない非決定性離散事象システムとしてモデル化された制御対象に対し,その仕様が決定性のオートマトンでモデル化される特別な場合において,双模倣制御問題の解となるスーパバイザの存在性が,多項式オーダで検証できることを明らかにした.そして令和5年度では,可制御事象に対して,まず,各ローカルスーパバイザがローカルな観測情報に基づき,その可制御事象を禁止すべき状態の推定,もしくは許可すべき状態の推定を行い,そして,コーディネータがローカルスーパバイザの推定の交わりをとり,それが空か否かによって制御動作を決定するような分散スーパバイザ制御系において,与えられた制御仕様が満足されるための必要十分条件を明らかにし,その条件が満足されるか否かを検証する方法を開発した.この成果はインパクトファクターが6.8であり,システム制御理論の分野でトップクラスの論文誌であるIEEE Transactions on Automatic Controlに掲載されている. また,当初実施を予定していた,時間付き非決定性離散事象システムとしてモデル化された制御対象とその仕様に対する双模倣制御問題,模倣制御問題に対しても,それらの解決への目途が立っている. よって,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,非決定性オートマトンでモデル化されたリアルタイムシステムとその仕様に対するスーパバイザ制御理論を確立することを目的としている.一方,現実の多くのシステムはネットワーク化され,分散的に制御・管理されている.このようなシステムのネットワーク化に対応できる分散スーパバイザ制御理論の確立も喫緊の課題である. そこで,非決定性離散事象システムを対象とした分散スーパバイザ制御理論の確立を優先し,複数のローカルスーパバイザからなる分散スーパバイザによる双模倣制御問題に取り組む.特に,双模倣制御問題の解となる分散スーパバイザが存在するための必要十分条件の導出に注力する. その後,時間付き非決定性離散事象システムとしてモデル化された制御対象とその仕様に対して,双模倣制御問題の解となるスーパバイザが存在するための必要十分条件を導出し,スーパバイザの一般的な構成法を開発する.そして,導出した条件の検証およびスーパバイザの構成のための計算量を解析し,その評価を行う.双模倣制御問題の解となるスーパバイザが存在しない場合には,双模倣等価性という制御要求を緩和する必要がある.そこで,制御された対象システムの振舞いが仕様に模倣されることのみを要求する模倣制御問題についても考察する. これらの制御問題に加え,制御系の信頼性を高めることを目的に,システム内での故障事象の生起などを検出するための診断システムに関する研究にも取り組む.
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