研究課題/領域番号 |
22K04173
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
奥 宏史 大阪工業大学, 工学部, 教授 (20351455)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | システム同定 / 閉ループ系 / 不安定系 / 有限長データ / 誤差分散解析 / 仮説検定 |
研究開始時の研究の概要 |
データ駆動形モデリングの一手法であるシステム同定は,対象の入出力データより対象の動特性をうまく表現する数学モデルを与える.しかし,数多あるシステム同定法の中からユーザが自ら直面する実際問題にふさわしい手法を適切に選択するのは簡単ではなく,手法選択のための何らかの指標が望まれる.本研究の目的は,ユーザが直面する個々のシステム同定問題に対して,ユーザがシステム同定法を適切に選択できるための定量的な評価法で,得られたシステム同定実験のデータを利用した統計学的仮説検定法に基づく評価法を構築することである.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ユーザが同定問題に直面したときに適切なシステム同定法を選択する助けとなる定量的な評価法でシステム同定実験のデータから求められる評価法を構築することである.具体的に,二つの閉ループ部分空間同定法のPBSID 法とCL-MOESP 法のそれぞれについて推定量と誤差分散,信頼領域をシステム同定データから求め,それらを利用した統計学的仮説検定を設計する.CL-MOESP法では、入出力データ行列のQR分解より得られた三角行列を用いて同定対象の状態空間モデルを推定する.詳細には,三角行列のうち,同定対象への直接的な入出力の外部励振信号が張る部分空間上への射影に対応する部分行列が重要な役割をもつ.研究代表者の先行研究では,同定対象を含む閉ループ系を構成するフィードバック安定化制御器が一般の線形時不変系の場合について,それらの部分行列を信号由来成分と雑音由来成分に分解して前者の漸近的一致性および後者の漸近収束性を示した.令和5年度は,まず,閉ループ系を構成するフィードバック安定化制御器が一般の線形時不変系の場合のCL-MOESP法の誤差分散解析についてまとめた研究成果を国際会議IFAC World Congress 2023で口頭発表した.つぎに,同定データは有限長であることに留意して,CL-MOESP法において同定モデルの状態空間表現の係数行列のうち,(B,D)行列の打ち切りによる推定誤差を従来よりも小さくする計算方法を提案し,数値シミュレーションにより有効性を例証した.得られた成果をまとめ,MSCS2025にて口頭発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度までに,CL-MOESP法の誤差解析および誤差分散解析に関する一連の成果をまとめ終えた.また,実用上の観点から,有限長のデータに対する同定精度を向上させる係数行列の計算方法を導出した.
|
今後の研究の推進方策 |
まず,1) PBSID 法やSSARX 法などほかの閉ループ部分空間同定法について十分な文献調査を行い,それらの推定量の漸近的一致性および誤差共分散行列について評価するための数値シミュレーションを実施するためのソフトウェアを開発する.つぎに,2) それぞれのシステム同定法の推定量と誤差共分散行列から信頼領域を導出する.CL-MOESP 法は一致推定量を与えることから,CL-MOESP 法の推定量と誤差分散から得られる信頼領域には真値が含まれると考える.PBSID 法の推定量との距離や信頼領域の包含関係を考慮した仮説検定を設計する.
|