研究課題/領域番号 |
22K04174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小坂 学 近畿大学, 理工学部, 教授 (20340755)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | データ駆動制御 / 閉ループ応答予測 / データ駆動予測 / カーネル正則化 / 信頼区間解析 / V-Tiger / カーネル法 / 高次ARX同定 / 制御系設計 / モデリング / 予測 |
研究開始時の研究の概要 |
人工知能(AI)がチェス、将棋、囲碁などの人間のプロに勝利して以来、AIに対する期待が飛躍的に高まった。これほどAIが発達した理由の一つは、コンピュータ内で仮想的に模擬対戦を非常に高速に繰り返せるようになった点にある。制御工学においても、制御器のゲイン調整実験をコンピュータ内で仮想的にできれば、制御性能の飛躍的な向上が期待できる。そこで、一回の実験データのみを用いて直接、閉ループ系の時間応答を計算し、良好な応答になるように制御ゲインの評価と再設計を「コンピュータ内で高速に繰り返し」、最適な制御器を求める制御設計手法V-Tigerを新しく提案した。本研究ではその実用化を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、2020年に提案された制御設計法 V-Tiger(Virtual Time-response based Iterative Gain Evaluation and Redesign)の実用性を向上することを目的とする。V-Tigerは、制御対象の数式モデルを必要とせず、実験データを直接利用して、ある制御器を用いたときの閉ループ系の時間応答を予測することができる。さらに、その応答から求まる整定時間とオーバーシュート、および安定余裕を評価関数とし、拘束条件付き非線形最適化問題を解いて最適な制御器を求めることができる。つまり、最適なPID 制御器を1回の実験データで設計できるという利点がある。 しかし、問題点として、 ①単一入出力系にしか対応しておらず、多入出力系には適用できないこと、 ②フィードバック系が不安定の場合には予測した応答と真の応答との誤差が発散すること、そして ③ノイズが存在しないことを仮定していることが挙げらる。 問題点①と②は、当該年度までにすでに解決し、本法を多リンクロボットに適用して、安定余裕を確保する制御器を得ていた。当該年度は、残る問題点③を解決するために、高次ARX同定を利用してノイズを除去して予測した応答の信頼区間を推定する手法や、新しく自己同期加算法や、カーネル正則化手法の適用法を提案し、その有用性を確認した。これらの手法の適用により、V-Tigerの実用性が向上し、より広範な制御問題に対応できるようになった。さらに、新たな課題として、④ 非線形系への適用。に取り組み、不感帯推定と補償法と、バックラッシュ推定と補償法を提案し、空気圧人工筋サーボシステムに適用して、その有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で述べた問題点③を解決するために、高次ARX同定を利用してノイズを除去して予測した応答の信頼区間を推定する手法の提案、自己同期加算法の提案、周波数領域近似モデルマッチングの提案、およびカーネル正則化手法の適用法を提案を行い、それらの有用性を確認した。これらの手法の適用により、V-Tigerの実用性が向上し、より広範な制御問題に対応できるようになった。これらの成果は、雑誌論文(2件、うち査読付き論文2件)と学会発表(3件)で研究発表した。 研究実績の概要で述べた問題点④を解決するために、不感帯推定と補償法と、バックラッシュ推定と補償法を提案し、空気圧人工筋サーボシステムに適用して、その有用性を確認した。これらの成果は、雑誌論文(1件、うち査読付き論文1件)と国際学会発表(1件)で研究発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、V-Tigerの実用性をさらに向上させ、より広範な制御問題に対応できるようにするために、以下の取り組みを行う。 ① 不感帯やバックラッシュをもつシステムの実験データのノイズ除去手法の確立。 ② 実験データのノイズ除去と制御設計におけるカーネル法の有用性の検証。 ③ 実験データのノイズ除去と制御設計における深層学習の有用性の検証。
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