研究課題/領域番号 |
22K04176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 昌之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90358648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | オブザーバ / オブザーバ構造型制御 / オブザーバベース制御 / LPV システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,従来オブザーバの推定性能を凌駕する新たな推定機能と高精度制御を両立させた制御方法として「オブザーバ構造型制御」を構築し,その性能を実証することである. そこで,以下の順により研究を進める.
1) パラメトリックな不確かさを含む「実用システム」を対象に,最適な制御性能を有する制御アルゴリズムが与えられた場合に,従来オブザーバの表現形式を包含する推定アルゴリズムを組込んだ制御アルゴリズムへの変換方法の開発 2) 実用システムに環境変化パラメータを追加した「応用システム」を対象とした1の結果の拡張 3) 2の結果の理論的拡張の検討,および2の結果の無人機による制御性能と推定性能の実証
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研究実績の概要 |
2022年度に開発した「パラメトリックな不確かさを含む『実用システム』に環境変化パラメータを追加した『応用システム』を対象に,既存制御アルゴリズムからオブザーバ構造型制御アルゴリズムへの変換手法」,および飛行実験により制御性能が実証されているゲインスケジュールド飛行制御アルゴリズムをオブザーバ構造型制御アルゴリズムへ変換した制御器の有用性を国際雑誌に投稿し掲載された. 一方,産業界における制御手法のほとんどが PID 制御であること,また,当初の適用想定対象であった飛行制御におけるデフォルト制御手法が PID 制御の派生型である PI-D 制御であることから,既存 PID 制御器からオブザーバ構造型 PID 制御器へ変換する手法開発に取り組んだ.その結果,参照入力の周波数特性を組み込むことによる実用的な状態推定性能の向上を図った変換方法を考案し,実用性が飛行試験により確認されている有人固定翼機の縦運動飛行制御器と無人固定翼機の横/方向運動飛行制御器に対する有用性を確認した.また,これらの結果を国内雑誌に投稿し掲載される運びとなった. また,更なる状態推定性能向上を目指した方法への取り組みとして,制御器の特性は全く変更しない一方で,内的なゲインスケジューリング操作を組み込ませることで推定性能を向上させる方法を考案し,国内会議にて報告した.ただし,この方法については理論的な推定性能保証が行われないため,更なる研究が必要であることを注記しておく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では,2024年度に想定していた「少ないハードウェアセンサ情報から機体運動状態を推定しながら制御する飛行制御の実証」までは達成できていないものの,シミュレーションによる有効性確認まで進んでおり,当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
①不確かさを含まない「基本システム」に対する変換方法,②パラメトリックな不確かさを含む「実用システム」に対する変換方法,③「実用システム」に環境変化パラメータを追加した「応用システム」に対する変換方法の構築が成功裏に終わり,更に「少ないハードウェアセンサ情報から機体運動状態を推定しながら制御する飛行制御」のシミュレーションによる確認まで終了している. そこで,昨今のビッグデータを用いた制御系構築や,実際のデータを有効活用したデータ駆動型制御の有効性報告などを鑑みて,既に考案済みの変換方法に過去のデータを活用することで,より実際のシステムの挙動を勘案した変換方法を検討する. なお,研究応募時とは異なる組織へ異動したことから,飛行実証に関して前職の組織(宇宙航空研究開発機構)と相談は行っているものの,相手方の組織の都合もあり望み薄である.そのため,今後は,理論構築および数値シミュレーションによる検証をメインに進める予定である.
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