研究課題/領域番号 |
22K04197
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
曽根原 誠 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (30456496)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | n型SWCNT薄膜 / 熱処理 / 半金混合SWCNT / カーボンナノチューブ(CNT) / 半導体 / センサ / 印刷法 / 新規デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
Society5.0以上では、ウェアラブルデバイスが主たる電子機器の一つに挙げられている。同デバイスに利用可能な能動素子やセンサは特に重要であるが実現には至っていない。応募者らは既に同デバイスの能動素子やセンサとして、単層カーボンナノチューブ (SWCNT) 薄膜を用いたp/n-SWCNT積層ダイオードの開発に成功している。同ダイオードを応用することができれば、柔軟性かつ通気性を有するFET等の能動素子や例えばCO2濃度を検出できるガスセンサが実現できる。本研究では、それら能動素子やセンサを開発することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
申請前から出発材料として使用している半導体型・金属型混合単層カーボンナノチュブ(以降、半金混合SWCNT)は、バッチによって半導体型と金属型の比が大きく異なることが明らかになった。2022年度で購入した半金混合SWCNTは、抵抗測定やキャリア密度およびホール移動度の測定結果から金属的な性質を示し、半導体型に比べて金属型の方が割合として多いものであったと推察した。 元々p型の性質を示す前記の半金混合SWCNTを出発材料として、n型の性質を示すようなn-SWCNT薄膜を作製した。初めにベンジルビオロゲンを用いてn型の性質になるための溶液中の濃度などを検討し、新たに還元剤である水酸化ホウ素ナトリウムを混合してからの時間の検討および成膜後に残留不純物の除去とSWCNTの結晶性向上を目的とする1,800℃での熱処理を検討した。結晶性の向上は見られなかったものの、ラマンスペクトルのGバンドのピーク位置が6 /cm低波数側に遷移したことを明らかにした。これは先行研究(Soo Min Kimら;J. Amer. Chem. Soc., 131, 1, pp.327-331 (2009))と比べて大きい値である。また、ホール効果測定の結果も同様にn型のキャリア特性を示していることが確認できた。 前記の通り当初目標よりも優れたn-SWCNT薄膜を作製できたが、p/n-SWCNT積層ダイオードを試作したところ、電流電圧特性より、オーミック性を示した。これは前述の通り、出発材料の半金混合SWCNTが半導体型よりも金属型の割合が多いと考えられ、整流特性を得るのに十分な空乏層を作ることができなかったと推測した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の目標の一つに掲げたn-SWCNT薄膜の作製について、【研究実績の概要】に記載した通り、ラマンスペクトルのGバンドのピーク位置が6 /cm低波数側に遷移した点と、ホール効果測定の結果からn型のキャリア特性を示した点より、当初目標よりも上回った結果が得られた。特に前者の結果に関しては、先行研究(Soo Min Kimら;J. Amer. Chem. Soc., 131, 1, pp.327-331 (2009))と比べて大きい値を示したことから、学術的に貢献を示したといえる。 一方で、出発材料の半導体型・金属型混合単層カーボンナノチュブが半導体型に比べて金属型の方が割合として多いものしか入手できなかった事情があり、試作されたp/n-SWCNT積層ダイオードに整流特性が見られず、目標に至ることができなかった。 以上を総合的に判断し、おおむね順調に進展していると自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
出発材料の半導体型・金属型混合単層カーボンナノチュブの半導体型と金属型の割合で、前者の方が多いものの入手を検討している。その上で、p/n-SWCNT積層ダイオードの試作を再検討する。その後、p/n-SWCNT積層ダイオードを応用して、nチャネル型FET及びpチャネル型FETを作製し、トランジスタへの応用を目指す。 加えて、p/n-SWCNT積層ダイオードの界面において、Siなどのような固体半導体で生じる空乏層がそもそもどのように形成されているかについても、現状では明確になっていないため調査・検討する予定である。
|