研究課題/領域番号 |
22K04198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
浅田 裕法 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70201887)
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研究分担者 |
福間 康裕 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (90513466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | スピンホール効果 / スピン流 / イオン注入 |
研究開始時の研究の概要 |
電流の流れを伴わないスピンの流れ(スピン流)を利用したデバイスは低消費電力デバイスとして期待されている。スピン流デバイスにおいてはスピン流⇔電流の変換効率向上は最重要課題である。この変換法の一つがスピンホール効果であり、電極材の合金化や不純物ドープによって効率向上が図られている。本研究では制御性のよいドーピング法としてイオン注入に注目し、材料開発を行うとともに、それを指針としたスパッタ法による作製についても検討する。
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研究実績の概要 |
令和4年度はイオン注入法によりセレンドープと窒素ドープ白金試料を作製し、スピントルク強磁性共鳴実験によるスピンホール角の評価を行った。セレンドープ試料においては、酸素ドープ白金(スピンホール角=0.23)に比べ、1/10のドープ量で0.25と大きな値を示した。窒素ドープ白金においては高ドープ試料でスピンホール角が減少し、ドープ量に対してピークを取る結果となった。これまでのイオン注入による酸素ドープ白金に加え、今回行ったセレンおよび窒素ドープ白金試料について、抵抗率とスピンホール抵抗率の関係を調べた。その結果、スピンホール抵抗率は抵抗率の2乗に対して線形的な増加傾向を示したことから、外因性散乱であるサイドジャンプ散乱が支配的になっていることが示唆された。この結果から、窒素ドープ白金におけるスピンホール角のドープ量依存性について検討するために、外因性散乱としてサイドジャンプ散乱を仮定することで、温度依存性測定結果からスピンホール効果を内因性散乱と外因性散乱に分離した評価を行った。その結果、窒素ドープ量の増加に従い外因性の効果が増加するのに対し、内因性が減少することがわかった。特に、高ドープ試料においては内因性が急激に減少しており、これによりスピンホール角の減少が生じていることを明らかにした。 スパッタ時のアルゴンガスと酸素ガスの導入比を調整することで、スパッタ法による酸素ドープ白金試料を作製し、各種評価を行った。その結果、スピンホール角の電気抵抗率依存性について、イオン注入法による試料と同程度の抵抗率範囲においては同様の傾向が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イオン注入法による新たなイオン種としてセレンや窒素ドープ試料を作製し、スピンホール角を評価した。また、内因性散乱と外因性散乱に分離することでスピンホール効果について検討を行った。さらに、アルゴンガスと酸素ガスの比率を変えて酸素ドープ白金を作製し、イオン注入による試料との比較結果を得ており、研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
イオン注入法においてはさらに別イオン種をドープし、スピンホール角の評価を行うことで、スピンホール性能の向上を図る。スパッタ法においては窒素ドープ白金を作製し、イオン注入法による作製試料と比較評価を行う。このとき、イオン注入試料と同様に内因性散乱と外因性散乱の分離評価を行うことで、両者の特性についてさらに調査する。また、磁化反転特性評価のための試料として強磁性材料との積層構造を作製する。
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