研究課題/領域番号 |
22K04199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
加来 昌典 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10425621)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 有機材料 / 表面改質 / ポリエチレンテレフタレート(PET) / 深紫外光 / LED光源 / 深紫外LED |
研究開始時の研究の概要 |
近年の有機エレクトロニクスの進展は目覚ましく,今後も新たな有機電子デバイスの実用化,事業化,産業化を進めるためには,有機エレクトロニクスに最適化された材料技術と生産技術の確立が必須となる.そこで本研究では,「深紫外LEDで実現可能な有機材料の光物質プロセスを探究し,それを産業分野で応用可能な制御された生産技術として確立すること」を目的とする. LED光源を用いた非接触,低温のドライプロセスが実現すれば,有機電子デバイス製造における高信頼性技術として期待できる.またLEDを用いることから省資源化,省エネルギー化,低環境負荷を推進するためにも重要な製造技術となり得ることが期待される.
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研究実績の概要 |
本年度は深紫外光を用いたポリエチレンテレフタレート(PET)の表面改質を試みた.水銀ランプは最も一般的な深紫外光源であるが,水銀の有毒性から日本では製造が法律で禁止されているため,本研究では将来性のある深紫外LED光源を用いている.有機高分子材料の中でもPETはペットボトルなどに利用され,耐薬品性や対靭性,電気絶縁性に優れており,また透明性が高い.一方でPETはフィルムコンデンサやフレキシブル基板といったエレクトロニクス分野でも使用されている.しかし、PETを電子機器の材料として使用する場合、PET表面に塗膜や無電解めっきにより伝導性薄膜を形成する必要があるため,他材料との密着性は問題のひとつである.この課題を解決するために深紫外LED光を照射したPET表面の親水性を評価した.一般的に親水化されると密着性が高くなることが知られている.実験は大気中で発光波長がそれぞれ265 nm,280 nm,310 nmの3つの深紫外LEDを積算照射量1000 J/cm^2までPETに照射した.PET表面の接触角を測定して親水性を評価した.未照射のPET表面の接触角は,約75°であった.波長265 nmのLEDでは照射開始とともに急激に接触角が減少し積算照射量350 J/cm^2付近で接触角が5°以下になり,その後はほぼ一定値となった.また波長280 nmのLEDでも積算照射量750 J/cm^2あたりで接触角が5°付近まで低下して一定値となった.一方で,波長310 nmのLED光照射では,接触角にほとんど変化は無かった.これらの結果は深紫外LED光を用いてPET表面の親水化が可能であることを示唆している.また照射波長に大きく依存することが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,3つの波長の異なる深紫外LED光源を用いてPETの表面改質を試みた.その結果,照射する波長によっては,接触角が大きく減少することを確認することができた.接触角の減少はPET表面が親水化したことを示しており,PETを電子デバイス材料として用いる際の課題のひとつである他材料との密着性が改善されることを示唆している.従来,光の表面改質では,波長が真空紫外域(200 nm)以下での報告は多くされているが,波長が200 nm以上の波長域での報告はなかった.この結果から大気中での照射が可能であること,また深紫外LED光源を利用できることから,産業分野へ応用可能な技術になることが期待される.また親水化に波長依存性があることも明らかにした.しかしながら,現状では光照射によってPET表面で,どのような光物質プロセスが生じて親水化されたのかは不明である.本研究課題の目的である制御された生産技術への応用を達成するためには,このメカニズムを明らかにすることは必要不可欠である.また深紫外LEDを用いた表面改質がPETのみ可能であるのか,他の有機材料でも可能であるのかを明らかにすることが課題である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,深紫外LED光照射によるPET表面の親水化のメカニズムを明らかにすることを目的とする.そのためにX線光電子分光法(XPS)やフーリエ変換型赤外分光法(FT-IR)を用いた表面の化学結合状態の分析,および原子間力顕微鏡(AFM)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた表面形状の分析などの表面分析を実施する予定である.これらの分析結果をもとに,3波長の深紫外光照射によってPET表面でどのような光物質プロセスが生じたのか,またその結果,表面がどのように改質されたのかを検討する. またPETに加えて低温同時焼成セラミックス(LTCC),液晶ポリマー(LCP)など,電子デバイス材料として用いられる新たな試料についても研究を開始する予定である.これら新しい試料についてもPET同様に表面改質のメカニズムを明らかにする.試料表面の親水化の応用技術としてマスクなどを用いて表面改質をマスクパターンで行うことを検討する.電子デバイス製造で要求の高い光クリーニングなどの検証も行う予定である.
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