研究課題/領域番号 |
22K04204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
石黒 康志 東京電機大学, 工学部, 助教 (20833114)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | グラファイト状窒化炭素 / 水素センサ / ガスセンサ / 水晶振動子 / 水晶振動子マイクロバランス法 / 水素吸着 / 分子吸着 / 電気伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
グラファイト状窒化炭素は、グラファイトと同様に層状構造をもち、表面にガス分子が吸着しやすい原子サイズの空孔を有すること、合成する際の原料を変えることで容易にその電子構造・化学構造を制御できるなどの理由から、ガスセンサ材料として注目され始めているが、実際にはまだそのガスセンサの動作原理については明らかになっていない。本研究ではグラファイト状窒化炭素のガス吸着前後の電気伝導度変化を調べてガスセンサの動作原理を解明することを目的とする。そのために、合成の際の原料の種類や層数を変えてグラファイト状窒化炭素の電子構造・化学構造を変化させて、そのときのガスセンサ動作の挙動を調べる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的としては、CO2を排出しないクリーンエネルギー源として注目されている水素の安全な利用に向けて、室温で水素漏れを検知できる水素センサの実現を目指している。 水素センサの材料として、近年、ガス吸着性に優れた炭素と窒素からなる層状物質であるグラファイト状窒化炭素が注目されており、本研究ではグラファイト状窒化炭素を電気炉で合成し、それを水晶振動子上に製膜して、膜表面にガス分子が吸着した際の水晶の共振周波数変化から水素ガスを検知できないか検討を行った。 実際に、水素分子が吸着した際に水晶の共振周波数が変化して、水素を検知できることを見出した。水素暴露を止めると共振周波数は元の値に戻り、周波数変化の可逆性も繰り返し確認できた。また水素濃度に応じて周波数変化量が線形的に変化することから水素濃度の定量評価も可能であることが分かった。 本研究のセンサは、従来の水素センサと比較して、貴金属が不要で安価な有機分子から作製でき、センサ動作も室温で動作可能であることから、低消費電力動作が実現できることが期待される。この成果は国際学術誌に採択され、国内の学会でもポスター賞を受賞した。また特許出願も行った。 さらに、現在はセンサ動作のメカニズムの解明のために、グラファイト状窒化炭素に窒素欠陥を導入した膜での水素センサ動作の評価を行い、グラファイト状窒化炭素中の窒素量と周波数応答性の相関を調べている。また、センサ感度の向上を目的として硫黄やホウ素などの異種元素をドーピングさせたときのセンサ特性の評価にも取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラファイト状窒化炭素膜を用いた水素センサ動作を実現し、そのセンサ動作のメカニズムの解明のために窒化炭素膜を修飾した膜を作製して評価をするなど、当初の計画通りに進められている。
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今後の研究の推進方策 |
水素センサ動作のメカニズムについてまだ解明できておらず、今後の研究で解明に取り組んでいく。具体的には、グラファイト状窒化炭素中の窒素上で水素が吸着している可能性が考えられるので、窒化炭素中に窒素欠陥を導入して、含有窒素量とセンサ特性の相関性を評価していく予定である。 また、水素センサ感度の向上を目的として、現在取り組んでいる異種元素ドーピングをさらに検討を進めていく。現在、グラファイト状窒化炭素中に硫黄をドーピングすることによってセンサ感度の向上が確認できているので、硫黄ドーピング量とセンサ感度の相関性の評価や、その他のホウ素やリンなどのドーピングの検討も取り組んでいく予定である。
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