研究課題/領域番号 |
22K04208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
眞砂 卓史 福岡大学, 理学部, 教授 (50358058)
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研究分担者 |
笠原 健司 近畿大学, 産業理工学部, 講師 (00706864)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | スピン波 / マグノニック結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、準周期の導入や位置に依存した周期構造等、通常の規則的周期構造とは異なる変調周期構造を持つマグノニック結晶の特性を明らかにし、さらなるマグノニック結晶の可能性を開拓する。通常の規則的周期構造とは異なる変調周期構造を持つマグノニック結晶は、これまでにない周期的効果を発現することは間違いない。マグノニック結晶に準周期の導入や材料変調、位置依存周期構造、またこれらの高次元化等、従来の規則的周期構造とは異なる構造を取り入れ、新たなマグノニック結晶特性の発現を開拓し、得られた特性を利用し、新たな情報処理機能への応用を目指したスピン波制御の研究を行う。
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研究実績の概要 |
アンテナに周期構造を励起と検出で波数の異なる蛇行アンテナを用いて、誘導電流により検出したスピン波の特性について研究を引き続き行い、これまでに得られた結果を論文にまとめることができた。この成果は、今後、マグノニック結晶で観測されたブリルアンゾーンの折り返しピークの検出に活用していく予定である。 さらに規則マグノニック結晶において、規則性導入に関する最適化の研究を進め、マグノニック結晶の障壁幅依存性、障壁長さ依存性、障壁材料依存性等を調べた。これは、スピン波の強度を保ちながら最もスピン波変調に効果高い構造を探索するとともに、周期を固定したままでバンドギャップ等の変調等の伝搬特性が制御可能性の検討にも寄与する。この結果、障壁高さ依存性では障壁が高くなるほどバンドギャップが広くなることが分かった。シミュレーション結果では、この時バンドギャップの下端の周波数はほとんど変わらず、上端の周波数だけがほぼ線形に増加する傾向が得られている。この理由についても、今後詳細に検討を続ける。また障壁長さ依存性では、障壁と溝の長さの比が1:1の場合は第1バンドギャップが広く、第2バンドギャップが狭くなり、0.5:1.5や1.5:0.5の場合は第1バンドギャップが狭く、第2バンドギャップが広くなるという興味深い結果が得られた。さらに詳細に比を変えて、本傾向の原因を追究する。さらに、障壁材料のみPyからCoに変えたマグノニック結晶を実験的に調べたところ、バンドギャップが増大するという予備的な結果が得られた。こちらもシミュレーションと組み合わせて詳細な検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、フィボナッチ数列を利用した準周期マグノニック結晶について、ミニバンドの形成や、異常な非相反性についてまとめた。この研究において、有限要素法を用い、磁性体内の動的磁化の様子だけでなく、検出におけるアンテナの誘導電流を計算する技術を開発した。 マグノニック結晶のスピン波特性をさらに詳しく調べるため、蛇行アンテナ技術をシミュレーションと実験の両方において確立し、これらの結果を合わせて論文にまとめることができた。この研究において、励起と検出のアンテナ形状が異なる場合、メインで励起された波数のスピン波の検出はかなり抑えられ、検出アンテナで指定した波数のスピン波が優先的に検出されることがわかった。 規則マグノニック結晶の伝搬特性については、規則性を様々に変調した研究を開始し、興味深い予備的結果が得られてきた。これにより、周期を固定したままにおいても、分散関係曲線の傾きやバンドギャップ幅を制御できることが分かった、今後はこれらの詳細な検討を進め、どのような変調パラメータがどのような効果を示すかを系統的にまとめていく予定である。このマグノニック結晶の特性制御の研究は、今後のマグノニック結晶の設計に重要な役割を果たすと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
規則マグノニック結晶の障壁の高さ、長さ、材料の依存性おいて得られてきた知見をさらに確実にするため、シミュ―レーション・実験の両面からさらに細かく条件を変え、系統的な結果を得てまとめる予定である。また、マグノニック準結晶の研究において検討課題であった1/3周期の発現についても、障壁の長さ依存性を取り入れて1/3周期の発現が表れるのかどうか、さらに検討を進める。また、マグノニック結晶におけるスピン波伝搬において、散乱マグノン導入によるスピン波伝搬制御や、スピン波の非線形励起に伴うマグノニック結晶の効果についても調べる予定である。
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