研究課題/領域番号 |
22K04209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
百瀬 成空 長野工業高等専門学校, 情報エレクトロニクス系, 准教授 (00413774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 化合物半導体 / 薄膜太陽電池 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代薄膜太陽電池の候補であるCZTSは,Seを添加することで,①禁制帯幅Egの狭小化(電流の生み出しが増加)と,②結晶サイズの大型化(生まれた電流の取り出しに有利)が生じ,太陽電池の出力が増大する。しかし,②を最大限引き出そうとSeの添加量を増やすと①のEgが狭くなりすぎてしまい(出力電圧が低下),実用化を狙う出力を得るには電圧低下を抑える必要がある。本研究では,CZTSへSeとともにGe(結晶の大型化と,Eg拡張の効果がある)も添加することで,SeとGeの相乗効果によるさらに大型な結晶と,電圧を低下させない程度に調整されたEgを兼ね持つCZTS薄膜の製膜条件を確立させる。
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研究実績の概要 |
本課題は「Cu2ZnSnS4(CZTS)薄膜にSeとGeの両方を添加し,CZTS系薄膜太陽電池の出力性能を最大限に伸ばす手法とメカニズムを明らかにする」ことを最終目的に研究を遂行している。Cu-Zn-Sn-Ge膜の封管内での硫化・セレン化中にGeの大部分が再蒸発してしまう問題に対して,Zn極薄層をキャップするアプローチを進めていたが,令和5年度はCu-Zn-Sn-Ge膜/Cu-Zn-Sn膜の二層構造を硫化・セレン化する方法を試みた。その結果,Geの再蒸発を防ぐことに加え,混晶結晶の成長が促進されることがXRDピークやSEM像の比較により顕著に見られたほか,CdSバッファ層とのヘテロ接合太陽電池の開放電圧,短絡電流,曲線因子のすべてが改善した。また,これまでの実験により,Ge/(S+Ge)比を0.4以上に上げることができるようになり,Se/(S+Se):0~1,Ge/(Sn+Ge):0~0.45の範囲内で二次元的に変化させ1.05~1.84eVまでの光吸収層の作り分けができるようになった。従来のCu2ZnSn(S,Se)4と比べ出力電圧の低下を抑えながら高い出力電流を維持した太陽電池を製作できた他,この系での多接合太陽電池への応用も期待できるデータを集めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の成果を原著論文として発表すること,膜の上層/下層での組成(バンド幅)傾斜の形成に着手できておらず,展開を急ぐ必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
キャップ処理などによってGe再蒸発を防止する効果とSeとGeの添加比による膜物性の変化を体系的にまとめ学術論文として投稿する。また,Cu-Zn-Sn-Ge膜/Cu-Zn-Sn膜の二層構造における組成,物性の傾斜を厚さ方向分析等により明らかにし,デバイス性能に有利な各層条件を調整する。
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