研究課題/領域番号 |
22K04211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
八木 修平 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30421415)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 中間バンド型太陽電池 / 高効率太陽電池 / 2段階光吸収電流 / 分子線エピタキシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、将来の超高効率太陽電池の候補である「中間バンド型太陽電池」について、狭ギャップサブセルを隣接積層した新しいデバイス構造を提案する。十分な光吸収を得にくい中間バンド-伝導帯間の光学遷移をサブセルが担い透過損失・電圧低下を防ぐとともに、中間バンド内のキャリアをトンネル接合層を介して引き抜くことで再結合損失を防ぐ。デバイスシミュレーションから最適バンドギャップの組み合わせを明らかにして実用的なデバイス設計を行うとともに、分子線エピタキシーによる試作セル評価を通して、提案するデバイスの動作実証および中間バンド型太陽電池の動作原理に基づくエネルギー変換効率の向上を図る。
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研究実績の概要 |
今年度は、比較的簡単なデバイス構造を用いて、提案する新規デバイスの原理検証実験を進めた。提案デバイスは、中間バンド型太陽電池(IBSC)をトップセルとして,挟ギャップボトムセルが高濃度ドープトンネル接合を介して隣接配置されるタンデムセル構造を持つ。トップセル中間バンド(IB)の電子は,トンネル接合を介し速やかにボトムセル価電子帯(VB)へ移動し,ボトムセルでの低エネルギー光の吸収で電流として回収される.さらにトップセル伝導帯(CB) 内の電子が直接的にボトムセルCBへ流れることで,ボトムセル生成電流とのマッチング不要な並列電流として出力電流に重畳され,IB-CB間の光学吸収が少ない場合でも理想的なIBSCと同等の高効率化を図ることができる.このようなトンネル接合部でサブセルCB間を伝導する電流成分の存在が提案デバイス動作を実現するための鍵であり、ここでは2つのGaAs pn接合で構成されたタンデムセルを用いてこれを検出することを試みた。分子線エピタキシー法を用いて成長した積層構造を基にフォトリソグラフィーおよび真空蒸着を用いたデバイスプロセスにより表面、裏面に加えトンネル接合部とのコンタクト電極を備えた3端子デバイスを作製した。作製したタンデムセルについて基本的な電流-電圧特性、量子効率スペクトルを測定した結果、トンネル接合で接続された2接合セルとして発電動作することを確認した。この構造に対して、ボトムセルを短絡した状態で光照射しながらトップセルのバイアス電圧を変化させることで、ボトムセルに流れる電流が変化することを確認した。この結果はトンネル接合部においてトップセル伝導帯からボトムセル伝導帯へ直接流れる電子電流成分があることを示唆するものであり、提案する新規デバイス構造の実現に向けて有用なデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で提案する新規セル構造の実現に向けて、有効な原理検証を行うことが出来た。また、昨年度に引き続きトップセルとして用いる希釈窒化物中間バンドセルについても開発を進めており、種々の組成を持つ材料で2段階光励起電流生成に関する基礎的なデータを蓄積し、着実に研究を進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
中間バンドセルと狭ギャップセルを組み合わせた動作実証用デバイスを作製するとともに、性能評価を行う。デバイス動作の理論的裏付けを強化するため、デバイスシミュレータを活用した動作解析を試みる。
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