研究課題/領域番号 |
22K04212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 知紀 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 技術専門職員 (10396781)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 界面 / 仕事関数 / シリコン / バンドアライメント / グラフェン / フェルミレベルピンニング / 半導体 / 金属半導体界面 |
研究開始時の研究の概要 |
膜厚方向に化学結合を持たない二次元層状物質の特徴に注目し,金属/半導体(Si,Ge)界面へ導入することにより金属-半導体間で相関してしまう界面構造を独立に制御可能な環境を創り出す.これにより金属,半導体の界面構造を独立且つ能動的に制御し,界面構造と金属/半導体界面のバンドアライメントとの相関の網羅的な調査が可能となる.これを踏まえバンドアライメントの決定機構を解明する. またこれに先立ち,正確なバンドアライメント評価に不可欠な真空乾式の大面積二次元層状物質転写プロセスを構築する.
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研究実績の概要 |
昨年度の結果に基づき,様々な金属上に存在するグラフェンの仕事関数に関する調査を進めた.具体的にはSi/SiO2基板上にIn転写法を用いたウェットプロセスによりグラフェンを配置し,グラフェン上に金属を堆積することによりMOSキャパシタ構造とすることで,グラフェンを配置していないAu電極のMOSキャパシタのフラットバンド電圧との差分により,SiO2上におけるグラフェンの実効仕事関数の評価を中心に実施した. 金属と物理吸着的な界面を形成可能なグラフェンは,最も単純な金属との電荷移動のみであれば,ディラック点に対するフェルミ準位のシフト,それに対応する仕事関数の変調を生じることが予想されるが,SiMOSのフラットバンドにおいてはそれ以上の実効仕事関数の変調を生じていることが分かってきた. この実効仕事関数の変調効果について,X線光電子分光によるグラフェンとSiO2間のバンドアライメントに注目すると,前述の電荷移動に加えてグラフェンのディラック点とSiO2の真空準位との相対的なエネルギー位置がフェルミ準位のエネルギーに依存している可能性が明らかとなった. このことはバルク項と表面項からなる金属の仕事関数の最もシンプルな描像において,表面項そのものがフェルミ準位より真空準位までの障壁(仕事関数のバルク項)に依存するものと推測が,半金属的な電子構造を持つグラフェンでこそ可能なバルク項の変調効果によって実証されていることを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属/グラフェン/SiO2/Si界面のバンドアライメントの解析を,これまでに構築したグラフェンの転写手法をウェットプロセスに基づいて進めた.MOSキャパシタによるフラットバンド,XPSを組み合わせたバンドアライメントの評価に基づいて,金属の仕事関数に関する大変興味深い結果が得られた.今年度内にその成果を報告することはできなかったが,次年度での研究の進展と合わせて行いたい. 初年度の本研究提案に関わる金属/グラフェン/Si界面のバンドアライメントについては,依然グラフェン/Si界面におけるSiO2膜の形成が課題となり大きな進展は得られていない為,研究の方向性を少し変えていくことも検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
グラフェンの実効仕事関数に関して,SiMOSキャパシタのフラットバンド電圧をXPSによるバンドアライメント評価を組み合わせてきたが,他の手法を織り交ぜた多角的な評価により,正確な結論に到達したい. また,これまでの解析手法を応用し様々な層状物質とhigh-k等の絶縁膜材料とのバンドアライメント評価などへの展開も検討したい.
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