研究課題/領域番号 |
22K04213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
大橋 隼人 富山大学, 学術研究部教養教育学系, 講師 (60596659)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | レーザー生成プラズマ / 極端紫外 / EUV / B-EUV (beyond EUV) / レーザー生成プラスマ / 極端紫外光源 / beyond EUV (BEUV) |
研究開始時の研究の概要 |
半導体リソグラフィー露光用B-EUVプラズマ光源をモデリングし,高効率条件を実証する. (1) 原子計算を拡張し,プラズマ中でのEUV光の吸収係数の算出法を確立する. (2) プラズマの損失過程・電子温度から,最大効率(目標値:3%)のレーザー照射条件を示す.
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研究実績の概要 |
本研究では半導体集積回路の回路線幅が2 nm以下に対応できるリソグラフィー露光用プラズマ光源をモデリングし,最大変換効率(3%)で産業化のガイドラインを示すことを目的としている。ロードマップ(IRDS2022)に示されている2028年の1.5 nmノード向けの波長6 nm帯beyond EUV光源の候補として希土類元素のレーザー生成プラズマが挙げられていたが,エネルギー変換効率をシミュレーションするためにはオパシティー(光学的厚み)を評価する必要があり,吸収係数が不明である状況では変換効率の理論上限がわからない状況にあった。本年度は吸収係数を算出するために原子コードFlexible Atomic Codeを用いて各種原子データの計算を行った。実験では,光学的な厚みを間接的に変えることで,スペクトル純度を改善することを試みた。2つのナノ秒(ns)パルスレーザーを直交させるダブルパルス照射法を試した。2つのパラメーター(遅延時間・ターゲット距離)を変えることでプリプラズマターゲット密度状態を能動的に制御し,時間積分B-EUVスペクトルを観測した。固体密度Gdターゲットの側面にプリパルスレーザーを集光照射し,低密度プリプラズマを生成した。その後,任意の遅延時間でメインパルスレーザーをプリパルスレーザーと直交するように集光照射した。このとき,ターゲット側面とメインパルスレーザー光軸間の距離が調整できるように真空中に置かれた自動ステージでターゲットの位置を調整した。固体密度ターゲットへのシングルパルス照射と直交ダブルパルス照射の時間積分B-EUVスペクトル形状を比較すると,帯域幅外放射を抑制でき,スペクトル純度を増加させることができた。スペクトル純度はそれぞれ1.5%と3.8%であった。光学的厚みを制御することでスペクトル純度を約2.6倍改善できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況は以下の通りである。 ・オパシティー(吸収係数)を評価するためのgf,gAスペクトルを計算している。 ・光学的厚みを間接的に制御することで,スペクトル純度を大幅に向上できることがわかった。 ・高速イオンの価数分離エネルギースペクトルおよび角度分布を実験的に明らかにした。 ・予備プラズマを生成することで,B-EUV光と高速イオンを角度的に分離できることと最大エネルギーと価数を大幅に下げることができることを示した。 ・高速イオンのエネルギーを3 keV以下にできることを示した。これは多層膜捕集鏡の損傷しきい値以下であり,エネルギー低減の有効な方法を示せたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い原子計算を拡張してプラズマ中でのEUV光の吸収係数の計算手法を確立する。その後,プラズマの損失過程・電子温度から,最大変換効率のレーザー照射条件・設計ガイドラインを示すことをめざす。スペクトル効率(スペクトル純度)および高速イオンを低エネルギー化する有効な手法を実験的に明らかにすることができた。これは,B-EUV光源だけでなく,レーザー生成プラズマに拡張できる有効な手法であると考えている。数値解析にフィードバックすることで,目的達成に向けて研究を進める予定である。
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