研究課題/領域番号 |
22K04214
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山口 裕資 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 助教 (10466675)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | テラヘルツ波 / 高周波ジャイロトロン / 第三次高調波発振 / PID制御 / ジャイロトロン / 高調波発振 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,テラヘルツ帯(0.1 ~ 10 THz)の電磁波の需要が増し,高周波数・高出力化が求められている.我々は,テラヘルツ帯で高出力・連続発振が可能な唯一の電子管であるジャイロトロンの開発を通して,本要求に応える事を目指す.現在普及している無冷媒型の超伝導磁石を用いて 1 THz 超のジャイロトロンを実現するには,三次以上の高調波発振が必要となる.これまで,第三次高調波発振について,実用に足る安定発振の報告例は無い.我々は,第二次高調波までの安定発振や周波数可変化の実績に基づき,先例の無い第三次高調波ジャイロトロンの実現を狙う.
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研究実績の概要 |
情報通信や物質科学研究等における電磁波の需要拡大に伴い,テラヘルツ帯の利用が注目されている.本研究の全体構想は,テラヘルツ帯で高出力かつ定常発振が可能な波源(高周波ジャイロトロン)を開発し,応用研究に資することである. ジャイロトロンは,磁場中の電子の回転運動を電磁波へエネルギー変換する装置であり,原理的には電子の回転周波数の整数(N)倍の周波数で発振させることが可能である.ただし,N の増加に伴い,その難易度は極端に上がる.これまで,N = 1 または 2 でのジャイロトロン発振については数多くの研究報告があるが, N が 3 以上の安定発振については報告例がない. 本研究では,N = 3 (第三次高調波)でのジャイロトロン発振を狙う.特に,安定発振の妨げとなるモード競合現象を抑制すべく,電磁波発生部(空胴共振器)の形状に工夫を施す(円筒半径の極小化を試みる).本年度は,当該共振器を搭載可能なジャイロトロンの筐体を新たに設計,製作した.製作時,部品間の接合に際して歪や気密漏れが発生し易く,工作に想定を大きく超える時間を要したが,仕様を満たす物が完成した.今後,空胴共振器の製作に移行する予定である. 他方,将来の実用化を念頭に,ジャイロトロンの汎用性を向上させる制御技法の開発にも着手した.現在,N = 2 までの発振が可能な既存ジャイロトロンを用い,応用研究に携わる学内外の共同研究者の要望に応える形で開発を進めている.本年度は,ジャイロトロンの動作(出力,発振パルス長,パルスの繰返し周波数)を自動調節して電磁波の被照射試料の温度を一定に維持するフィードバック(PID)制御器を実現した.以上の結果について,国内外の学会にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 学内外の機関との共同研究において,ジャイロトロンの利用要求が予想以上に増えており,新しいジャイロトロンの設計・製作に要する時間を充分に確保できなかった. 2. ジャイロトロンの筐体の製作時に問題(複雑な部品同士の溶接やロウ付けに際して歪や気密漏れ)が発生し,作業に想定を大きく超える時間を要した. 3. 昨今の電子部品の不足(長納期化)の影響を受け,制御回路を構成する部品の一部を入手できない状況が続いている.
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今後の研究の推進方策 |
1. 共同研究におけるジャイロトロンの利用増は今後も続くと見られる.そのため,研究期間の延長を視野に入れつつ作業を進める. 2. 2023 年度中に空胴共振器を製作してジャイロトロンの筐体へ組み込み,真空排気とベーキングを実施する.ジャイロトロンを 10 T の超伝導マグネットへ挿入し,既存の制御装置を介して電源および計測機器と接続する.その後,初期実験に移行する. 3. 研究期間内に入手困難となる電子部品については,別の部品での代替を検討する.
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