研究課題/領域番号 |
22K04220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
寺迫 智昭 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70294783)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 酸化亜鉛 / メモリ効果 / 増強‐抑圧効果 / PPF / 興奮性シナプス / ヒステリシス / キャリア輸送機構 / 光電流 / 化学溶液析出法 / 紫外光検出器 / 光電子シナプス素子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、低プロセス温度で簡易な結晶成長技術である化学溶液析出法によって成長した酸化亜鉛(ZnO)ナノロッド(NRs)と正孔輸送性導電性高分子PEDOT:PSSとの無機/有機ハイブリッドヘテロ接合による光制御型アナログ抵抗変化素子による人工光電子シナプスの実現を目指している。
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研究実績の概要 |
今年度は,パルス電圧印加時の応答特性を中心にPEDOT:PSS/ZnOナノロッド(NRs)/GZOヘテロ接合のアナログ抵抗変化素子応用への可能性について検討した. PEDOT:PSS/ZnO NRs/GZOヘテロ接合素子における順方向バイアス領域の電圧(V)-電流(I)特性を0V→+5V→0Vの掃引を1サイクルとして測定した際,+5V印加時における順方向電流最大値はサイクル数とともに増加するメモリ効果が観察された.この素子に矩形波パルス列(振幅5.0V,パルス幅100ms,デューティ比0.2)を印加した際には,パルス数の増加に対して電流が増加する傾向が観察された. 振幅(5.0V)とパルス幅(50ms)が等しい二つの矩形パルスを印加した際には,両矩形パルスの時間間隔と1stパルスによって生じる電流振幅(A1)と2ndパルスによって生じる電流振幅(A2)の比[PPF(paired-pulse facilitation)=(A2/A1)×100%]は両パルスの時間間隔の増加とともに低下し,その変化は異なる時定数を有する2つの指数関数の和としてフィッティングされることが明らかになった.これは興奮性シナプスにおけるPPFと類似の挙動である. 増強および抑圧のためのパルスの振幅をそれぞれ5Vおよび-5V(パルス幅はともに50ms),読み込みパルスの幅を100ms,振幅を2Vとするパルス系列の印加の際には,増強パルスのパルス数の増加とともに素子電流が増加し,抑圧パルスのパルス数の増加とともに素子電流が減少し,刺激パルスの極性と数によって素子電流アナログ的制御が可能であることが示された. また極性の異なるパルスを与えた際には,後続パルスによる電流振幅と先行パルスによる電流振幅の差と先行パルスによる電流の比の両パルス間の時間差依存性は,酸化物薄膜メモリスタと異なる特異な挙動が観察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,素子のパルス電圧駆動特性を中心に評価実験を行った.当初使用していた任意波形発生装置では,時間間隔と振幅を直接に装置に入力する必要があり,波形データ入力に非常に多くの時間を費やしていたため全体的に進捗が遅くなった.その後,PCで作成したCSV形式での波形データをUSBメモリを介して読み取ることができる任意波形装置を購入したところ,測定までの時間短縮を図ることができるようにはなったが,まだ完全に後れを取り戻せてはいない.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,PEDOT:PSS/ZnO NRs/GZOヘテロ接合素子の伝導度の電気的および光学的に制御することを目標としている.前年度は主にパルス電圧印加による特性制御の可能性を検討した.最終年度となる本年度は,光学的制御の可能性を中心に検討する。具体的には、以下の項目に取り組む:(1)暗状態と光照射下におけるパルス電圧印加特性の相違点の検討,(2)(1)における照射光波長依存性の検討((1)および(2)は(3)以降の検討事項のサポートデータとなるものである),(3)UV光パルスによる伝導度特性制御の可能性を明らかにする,(4)(3)の実験の波長依存性(UV光のみならず、可視光領域も含める)を明らかにする,(5)ZnO NRs層への不純物添加および熱処理による制御の可能性の検討,および(6)三年間の研究成果を総括するとともに次年度以降の研究計画を立案する.
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