研究課題/領域番号 |
22K04225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
田中 浩 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60609957)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 液滴 / ウエットエッチング / グリーンプロセス / マイクロピラミッド / 次世代デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
ウエットエッチングは,化学・結晶学的な作用により選択的除去加工が可能であり、加工歪のない表面が得られる.しかしその液は,高速化等の理由から高温・高濃度状態で用いられている.今後は持続可能なプロセスが求められる.これまで,少量の低濃度液を開始液として利用し,プロセス中に所望の濃度へ可変させるため,低濃度の液滴を加工部直上で局所加熱蒸発させることで,反応時は高濃度液として振る舞う方法を考案した. 本研究では,電子デバイス材料において,加熱蒸発時の液滴特性を制御するための液滴寸法,濃度,および温度の影響調査,及び浸漬エッチング加工特性との比較検討を行い,液滴加熱蒸発エッチング基盤技術を形成する.
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研究実績の概要 |
本年度は,特に,低濃度液滴のアルカリ濃度依存性を調査し,特にKOH濃度の数%の変化によるシリコン(100)面の液滴エッチング加工特性への影響度を把握することに努めた.本研究では,開始液として環境にやさしい数%のアルカリ水溶液を用い,その低濃度液を蒸発させ,高濃度化してエッチングを行うことが大きな特徴であるが,微量な濃度差や微量な液量差により.エッチング加工特性が大きく変わってしまうことが昨年度の研究で明らかとなった.すなわち,エッチング加工の安定性,制御性を保つことができる,液滴エッチングのプロセスウインドウを掴むことも重要な視点であるとして研究を進めた. 今年度は昨年度実施した5wt%KOH水溶液に加え,1wt%KOH水溶液を用いた時の液滴エッチング加工特性を把握した.その結果,5wt%KOH水溶液では,2μm/min程度のエッチング速度が得られたが,1wt%KOH水溶液を用いた場合は,エッチング時の温度に対するエッチング速度の向上度合いが小さくなる現象が見出された.また,液滴を100℃程度の高温にしても,マイクロピラミッドと呼ばれる凹凸がエッチング表面に発生しまうことがわかった.これは,1wt%以下の極低濃度のアルカリ液滴では,局所加熱して水分を蒸発させても,所望の高濃度状態まで到達させることができないためと考えられた.現在,高速度カメラを用いた液滴状況の把握,そして各条件での液滴濃度の把握を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低濃度アルカリ液滴を用いた液滴エッチング加工特性を,1wt%KOH水溶液および5wt%KOH水溶液において,詳細に把握できた.数%レベルの濃度変化でエッチング加工特性が大きく変わることがわかったが,逆にエッチング加工を十分に行えるプロセスのウィンドウを捕まえられるようになったと考える.今年度から,高速度カメラによる観察を開始し,液滴の挙動を定量的に解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,アルカリ液滴濃度が数%変化するだけで,エッチング加工特性が大きく変化した原因を,エッチング時の液滴観察を中心に評価解析を進め,解明を進める.さらに,次世代デバイス材料のSiC,GaNなどの液滴エッチング特性を明らかにする.加えて,液滴エッチング方式の主たるエッチングパラメータのプロセスウインドウから,安定したエッチングが行える方式の指針を明確にする.
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