研究課題/領域番号 |
22K04226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
赤池 宏之 大同大学, 工学部, 教授 (20273287)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 超伝導デバイス / 磁性ジョセフソン接合 |
研究開始時の研究の概要 |
超伝導論理回路は、回路を構成する超伝導ループ内の超伝導巨視的波動関数の位相を利用することにより、その回路機能を決めている。そのため、この位相を制御するための回路素子を実現できれば、論理回路の機能切替が可能となる。本研究では、この位相制御のためのメモリ素子を超伝導スピントロニクス素子である磁性ジョセフソン接合を用いて構成し、プログラマブル論理回路への応用展開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、メモリ素子の基本素子となる磁性ジョセフソン接合、特に、超伝導巨視的波動関数の電極間位相差が基底状態においてπとなるジョセフソンπ接合が重要となる。令和4年度は、この接合の磁性障壁層についてニッケル薄膜を中心に基礎的検討を行った。磁性材料を障壁層として応用する際、接合特性の制御が容易になることから磁気的特性が弱い方が望ましい。また、障壁層の数nmから十nm程度の膜厚制御の必要性から、成膜速度を小さくする必要がある。そこで、成膜速度と薄膜特性との関連性を調べた。その結果、成膜速度の減少に伴い、抵抗率が数倍程度増加することが分かった。さらに、磁気的特性を調査するための異常ホール効果の測定結果から、成膜速度の減少により、異方性磁界が大きく低減することが分かった。これらの特性変化は、ニッケル薄膜中の電子密度の変化に起因している可能性が示唆された。また、得られた実験データから、接合作製時に重要となる磁性体のコヒーレンス長を見積もった。一方、磁性ジョセフソン接合作製技術の検討として、作製プロセス高信頼化のため、陽極酸化プロセスを導入し、超伝導材料となるニオブなどの陽極酸化特性を評価した。その結果、陽極酸化速度などの基礎的データを得た。また、メモリ素子の設計においては、回路シミュレーションにより、磁性ジョセフソン接合に求められる接合特性についての基礎的検討を行った。メモリ素子の基本構造は、超伝導インダクタンスと一つの磁性ジョセフソン接合から成り、回路内では受動素子的に振る舞うことを想定しているものの、接合特性が回路の動特性に影響を与えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁性ジョセフソン接合のためのニッケル薄膜について、成膜条件による単膜磁気特性への影響を調査し、磁性ジョセフソンπ接合の適用性に関する知見を得ることができた。さらに、接合作製プロセスの高信頼化のために陽極酸化プロセスを新たに導入した。また、メモリ素子の基本素子として用いる際に必要となる磁性ジョセフソン接合の特性について知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
磁性ジョセフソン接合作製の検討においては、磁性障壁層として新たにニッケル化合物などを検討対象に加えて、その成膜及び薄膜特性評価を行う。さらに、メモリ素子に適用する磁性ジョセフソン接合の接合構造として、磁性層とトンネル障壁層から成る二重障壁層構造を新たに想定し、アルミニウムを用いたトンネル障壁層の検討を進める。また、接合作製プロセスの開発に取り組む。メモリ素子の設計においては、素子の位相極性制御の観点から、回路シミュレータを用いて回路パラメータの検討を行う。
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