研究課題/領域番号 |
22K04228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
細谷 健一 広島工業大学, 工学部, 教授 (20755665)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | マイクロ波回路 / 分岐理論 / 調波平衡法 / 不安定現象 / 非線型回路 |
研究開始時の研究の概要 |
増幅器や周波数逓倍器などのマイクロ波非線型回路においては、しばしば低周波寄生発振やループ発振等の不安定現象が起こる。これらはホップ分岐や周期倍化分岐と呼ばれる非線型現象に起因し、本来の回路動作の致命的な阻害要因となる。そのため、これらの分岐現象の高精度予測及び回避は重要な課題である。本研究では、(1)分岐理論と調波平衡法(Harmonic Balance法)を統合した大信号回路シミュレータの開発、(2)回路試作及びその電気的・電磁的特性の評価、を併せて行うことにより、マイクロ波回路の分岐現象の高精度予測技術を確立する。更に、汎用回路シミュレータに実装可能な形態の分岐現象モデルの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本課題の目的は、マイクロ波回路における分岐現象の高精度予測技術の確立とそのモデル化である。2023年度はこの目的達成に向け、(1)調波平衡法(Harmonic Balance法)に基づくマイクロ波大信号回路シミュレータの改良および分岐理論の組込み、(2)マイクロ波能動回路の設計・試作・評価、を目標に研究を遂行した。主要な実績は下記の通りである。
1) 調波平衡法(Harmonic Balance法)に基づくマイクロ波大信号回路シミュレータの改良を行った。2022年度に開発したシミュレータでは、回路計算部のプログラミングの難易度を下げるため、トランジスタ特性をドリフト・拡散モデルに基づく2次元デバイスシミュレーションにより計算する構成とした。2023年度はこの部分を大信号等価回路モデルに置換することにより、分岐理論の組み込みに適した構成に改良した。 2) マイクロ波回路の設計・実装技術の精度検証の目的で、各種回路の設計・試作・評価を行った。2022年度は平面受動回路について検証を行ったが、2023年度は平面実装型の受動素子や半導体素子を集積化した受動回路(アナログ移相器等)について検証を行い、設計・実装技術に問題がないことを確認した。 3) 実際に分岐現象を検出するためのマイクロ波能動回路の第一弾として、シリコンゲルマニウムヘテロ接合バイポーラトランジスタ(SiGe HBT)を能動素子とする5 GHz帯増幅回路の設計を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Harmonic Balance法に基づくマイクロ波大信号回路シミュレータの改良を行い、トランジスタ部を2次元デバイスシミュレーションにより計算する方式から、大信号等価回路モデルにより計算する方式へと変更した。これによって、分岐理論の組込みに適した構成とした。ただし、分岐理論を組込んだ解析コードの開発自体は未達となった。回路試作に関しても、平面実装型の半導体素子を集積化した受動回路の設計・試作・評価を行い、設計・製造技術の妥当性を確認したが、能動回路については設計までに止まった。以上を考慮し「やや遅れている」と判断した。遅延の理由としては、回路シミュレータの改良や半導体素子を集積化した回路の試作検討に想定以上の時間を要した点が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
Harmonic Balance法に基づくマイクロ波大信号回路シミュレータの開発に関しては、分岐理論の組込みを進める。回路試作については、増幅回路や周波数分周回路などの能動回路の設計・試作・評価を進め、分岐現象の実験的検知を目指す。
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