研究課題/領域番号 |
22K04229
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
高久 裕之 仙台高等専門学校, 総合工学科, 研究員 (20705016)
|
研究分担者 |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
研究開始時の研究の概要 |
可視~赤外波長帯レーザ光伝送用で、フレキシブルに扱え、機械的に安定な伝送媒体が要求されており、満たせるのは、金属チューブを母材とした中空ファイバであると認識されている。中空ファイバを内視鏡治療で用いるためには、生体適合性に優れ、軽量で十分な強度を持ち、小さい力量で扱え、再利用でき、曲げても破断しないNi-Tiチューブを母材とした高信頼性再利用型中空ファイバの実現が求められている。本研究で提唱する中空ファイバ製作法は単純で低コスト化が可能である。現存する充実型赤外伝送路に対して、中空Ni-Tiファイバは機能、再利用性、取り扱い易さの上で極めて優位に立つ伝送媒体であることが認識されている。
|
研究実績の概要 |
胃がんの腫瘍除去に、国産技術の内視鏡、ならびに赤外レーザを用いた治療法が最近、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の事業テーマとなり、レーザ内視鏡治療は現実のものに進展し、更なる展開・高度化が期待されている。その中でのキー・テクノロジーは、体内に挿入しても決して破壊しない、安全・安心なレーザ伝送路の開発である。 本研究では、この要求に応えるために、内視鏡の可動範囲として半径15 mmの曲げ、長さ30 cm程度に適応でき、疲労限界内では決して破壊しない赤外光伝送路として、「無毒」、「再利用性」、「生体適合性」などの優れた特長を有する、内径800μmの超弾性・記憶ニッケルチタン(Ni-Ti)合金パイプを母材とする中空ファイバを開発することを目的とする。伝送するレーザ光は、低出力でも優れた切開能力を有するEr:YAGレーザ光、止血能力のあるCO2レーザ光、ならびに照射治療部を視認するための緑色LD光である。令和4年度は、高効率・再利用性・高機能太径銀中空Ni-Tiファイバ先端素子の製作と評価を行うために、研磨剤を用いた物理研磨を行い、Ni-Tiチューブの内面粗さの抑制を図った。令和5年度は、令和4年度のNi-Ti合金パイプの内面研磨法の改善を図り、その後、銀鏡反応を用いて、銀膜の成膜を行い、高効率・再利用性・高機能太径銀中空Ni-Tiファイバの製作を図った。令和6年度は、赤外レーザ複合光伝送用高効率・再利用性・高機能太径中空Ni-Tiファイバの製作と評価を図る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、Ni-Tiファイバの研磨技術の更なる改善を図った。令和4年度の結果から、Ni-Tiチューブは、先端素子として、内視鏡の先端可動部で用いるのが効果的であると評価した。ステンレス中空ファイバは、曲げ半径15 mmで曲げると直線状態に戻らず、曲げ癖がついてしまい、取り扱いが不便である。そこで、内視鏡の可動範囲 、半径15 mmの曲げに適応でき、疲労限界内では破壊しない赤外光伝送路として、「無毒」、「耐腐食性」、「生体適合性」、「再利用可能」の特長を有する、内径800 μm、外径1000 μm、長さ30 cmのNi-Tiチューブを母材とする中空ファイバの製作を試みた。市販の内径800 μm、外径1000 μmのNi-Tiチューブは、酸洗いをしており、粗さRa約0.74 μmであった。研磨専門企業が試作研磨したところ、粗さRa約0.01 μmとなった。しかしながら、研磨工程は高価であった。令和4年度の結果を基に改善した研磨方法で、内径800 μm、外径1000 μm、長さ30 cmのNi-Tiチューブの研磨を行い、その後、高反射膜として、銀鏡反応を用いて、Ni-Tiチューブ内面に銀膜を成膜した。比較として研磨専門企業で研磨したNi-Tiチューブにも銀膜を成膜し、銀中空Ni-Tiファイバの製作を行った。銀中空Ni-Tiファイバを直線状態にして損失波長特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)を測定した。 研磨専門企業のファイバは、波長1μmにおいて約4.1 dBとなった。製作した銀中空Ni-Tiファイバは、波長1μmにおいて約3.6 dBとなり、同じくらい低損失であることが分かった。 令和6年度は、Ni-Tiチューブ長30 cmで、Er:YAGレーザ光とCO2レーザ光を同時伝送可能な太径中空Ni-Tiファイバの製作を図る。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、高効率・再利用性・高機能太径銀中空Ni-Tiファイバに、CO2レーザ光とEr:YAGレーザ光と可視パイロット光を同時に伝送可能な光学膜の成膜を図る。製作した赤外レーザ複合光伝送用高効率・再利用性・高機能太径光学膜内装銀中空Ni-Tiファイバの評価を図る。
|