研究課題/領域番号 |
22K04231
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
|
研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
森宗 太一郎 香川高等専門学校, 電子システム工学科, 准教授 (30455167)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 光方向検知 / 光位置検出センサ / 直線性 / 入射角度 / 有機半導体 / 光源方向 / 位置検出 |
研究開始時の研究の概要 |
福島原発事故における放射能漏れにおいて,放射線の迅速な計測が必要不可欠であるが,放出された核種の線量を測定するだけでは放射線物質を見つけることが難しい。そこで本研究では,放射線に反応するシンチレータと有機位置検出センサを一体化した低コストで超軽量な有機半導体を用いた放射線方向検出センサを実現することで,原発事故等の災害時における放射性物質の除去をより迅速に行うことができる放射線飛来方向検出センサ及びモニタシステム開発を目的とする。
|
研究実績の概要 |
本研究は福島原発事故における放射能漏れにおいて,放射線の迅速な計測が必要不可欠であるが,放出された核種の線量を測定するだけでは放射線物質を見つけることが難しい。そこで本研究では,放射線に反応する位置検出センサを積層することで一体化し、低コストで超軽量な放射線方向検出センサを実現することで,原発事故等の災害時における放射性物質の除去をより迅速に行うことができる放射線飛来方向検出センサ及びモニタシステム開発を目的としている。 今年度は半透明な位置検出センサを作製して、それらを積層することで可視光に反応する光方向検知センサの開発と特許化、およびその性能について評価した。真空蒸着法で膜厚制御した有機半導体を用いることで半透明で薄膜状の位置検出センサを積層した光の入射方向検知センサを実現した。主に臨界角である30°までの入射角度検知を実証し、その測定精度や誤差の要因について検討した。角度が広がるに伴い誤差も大きくなることが分かり、その原因が積層時における下側素子の直線性の低下であることが分かった。今後の課題として上側素子の高透明化についても検討する必要があることを示唆している。 また光センサとして放射線に反応することが報告されているPCBM:P3HTの有機半導体材料を光電変換層に用いた半透明位置検出センサを開発した。また観測対象がパルス状の放射線を想定して周波数特性を評価した。その結果、励起光強度依存性があることや100kHz程度の遮断周波数を持つことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終的に放射線方向検知センサを実現するために、初年度は下記について予定していた。 1)積層型位置検出センサを用いた光方向検知センサの特許化、2)光の入射角に対する誤差の原因解明、3)放射線に反応する有機半導体を用いた位置検出センサの開発、4)X線照射による応答 まず、電極に20nm程度の薄膜Agを用いることで半透明な位置検出センサを作製し、それらを積層することで光の入射方向を検知できるセンサの開発に成功した。またその入射角度の測定精度についても検証した。その結果、入射角度が広がるに伴い誤差も大きくなることが分かり、その原因が積層時における下側素子の直線性の低下であることが分かった。その改善方法として下部素子の感度の向上のために上部素子の高透明化が必要であることが分かった。また特許出願を行った。 更に放射線に反応することが報告されているPCBM:P3HTの有機半導体材料を光電変換層に用いた半透明位置検出センサについても開発に成功した。最終的な観測対象がパルス状の放射線を想定しているため、まず直線性やパルス状の可視光入射に対する周波数特性を評価した。その結果、励起光強度依存性があることや100kHz程度の遮断周波数を持つことが分かった。しかし放射線の検知については、使用予定であった現有のX線回折装置のX線源部が故障して放射線の照射ができなかったためX線に対する反応は確認できていない。今後は他機関での測定を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の課題として、現状では入射角度30°で7%程度の誤差があるため、入射角度検知の精度を上げるために有機位置検出センサの高透明化を図る。具体的には共通電極として用いているAg薄膜にMoOxを用いることで共通電極の低抵抗化と高透明化を実現し、これにより下側素子の感度を向上することができると考えている。 また放射線に反応する素子を大気中で測定するため、素子の厚膜化と大気中での動作安定性の評価および測定を迅速に行うための治具作製を行う予定である。
|