研究課題/領域番号 |
22K04235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 和也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (20734297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トンネル磁気抵抗効果 / サファイア / マンガン合金 / エピタキシャル成長 / 垂直磁気異方性 / 磁気センサ / 磁気抵抗メモリ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, コランダム型サファイア基板上に垂直磁気特性を示す正方晶マンガンガリウム合金(MnGa)極薄膜のヘテロエピタキシャル成長技術の開拓とその成長機構の解明を行い, 加えてトンネル磁気抵抗(TMR)素子の特性評価から産業応用展開の可能性を示す. スパッタリング法を用いて, 採択者が最近見出した新バッファ層を元に、MnGa極薄膜の単結晶成長可能なバッファ層作製プロセスを確立し, 結晶構造解析, 磁気特性, TMR素子の特性から総合的にヘテロエピタキシャル成長機構を明らかにする.
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研究実績の概要 |
今年度は、MnGa極薄膜の特性を左右するサファイアr面基板/Ta/Cr層の成膜条件について詳細な検討を行った。その結果、Taは適切な温度域による基板加熱成膜を必要とし、適切な条件によりCr層とCoGa層を形成することにより、優れた垂直磁気特性を有するMnGa極薄膜が得られることがわかった。 そして、最適化した成膜条件により作製したトンネル磁気抵抗素子構造の断面TEM像観察を行い、大きな格子不整合を有するにも関わらずサファイア基板上にTaとCrが(001)方位にエピタキシャル成長していることを確認した。一方、Ta/Crバッファ層上に形成したCoGaシード層において、平坦性の低下が観察され、従来のMgO上に作製したCoGaシード層とは異なる形態が観測された。 下部電極をMnGa極薄膜とし、上部電極に垂直磁化を示すCoFeBを用いた垂直磁化TMR素子を試作し、室温におけるTMR比の熱処理温度依存性を調べた。その結果、従来のMgO基板上にも同構造のTMR素子と比較し、サファイア基板上では、TMR比がMgO基板上の素子に比べてやや低下することが明らかとなった。この原因として、MnGa/MgO界面の平坦性の低下を示唆しており、断面TEM像観察で明らかとなったCoGa層の平坦性に起因することが示唆された。現状でもスピンデバイス応用にあたり十分な特性を有しているが、特性向上のためにCoGa層の成膜条件についてより詳細な検討が必要である考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初計画通り、Ta/Crバッファ層の最適化を完了し、断面TEM像からエピタキシャル成長を確認し、TMR素子を試作してTMR効果を評価した。また、既に最適化が終了しているMgO基板を用いたTMR素子とのTMR特性の比較により、結晶構造解析や断面TEM像では捉えがたい相違点の認識が得られ、今後の素子特性改善の指針を得ることができた。以上から、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた知見を基にサファイア基板上に形成したMnGaを電極構造に有するTMR素子の素子特性の向上を実施する。また、磁気センサ等の試作を行い、デバイスとしての有用性を検討する。
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