研究課題/領域番号 |
22K04240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
守安 毅 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (00788789)
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研究分担者 |
谷 正彦 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授 (00346181)
北原 英明 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 特命助教 (20397649)
桑島 史欣 福井工業大学, 工学部, 准教授 (30342554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | テラヘルツ / レーザーカオス / スピントロニクス / スピントロニック素子 |
研究開始時の研究の概要 |
高価な超短パルスレーザーに比べはるかに安価な連続波多モード半導体レーザー(CW-MLD)を使って,新奇なテラヘルツ波放射素子として注目を集めているスピントロニック素子からのテラヘルツ波放射を目指す.CW-MLD を用いて放射されるテラヘルツ波からは,超短パルスレーザーでは困難である超高速スピントロニックダイナミクスにおける緩和過程の知見が得られる可能性が高い.
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研究実績の概要 |
MLD-TDS の光源として利用すべく,外部鏡によって光学的遅延を加えた光を安価な DL-7140-213X や比較的高強度な L785H1の連続波半導体レーザーに帰還することによってレーザーカオス光の生成を試みた.DL-7140-213X に関しては,時間波形と,それをフーリエ変換して得られる振幅スペクトル,および光スペクトルに対する戻り光量の影響を,実効的な戻り光量を導入して分類することにより,レーザーカオス光の生成を確認する方法を提案し,実際にレーザーカオス光が発生している戻り光の領域を確認した.より詳細にレーザーカオス光の光スペクトルを評価するためには,広帯域かつ高分解能な分光計が必要であることがわかった.しかしながら,分解能と帯域,価格の三つの要素は互いにトレードオフの関係にあり,広い帯域と高い分解能の両方を同時に満足する分光計は,非常に高額である.フーリエ変換分光法が,光源と干渉計,検出器という簡単な構成で,広帯域なスペクトルを高い分解能で測定できる手法であることに着目し,高分解能・広帯域なフーリエ変換分光装置の構築し,レーザーカオス光が生成される時に観測される光スペクトルの広大とスペクトル全体に渡って半導体レーザーの縦モード間隔の 0.1 nm によく一致する周期的な構造を観測することに成功した.テラヘルツ波発生のための,スピントロニック素子については,マグネトロンスパッタリング装置を用いて成膜した Pt と Ni を透過分光測定によって評価をおこなった.共に膜厚が不均一である可能性が高いという結果になったが,目的としている膜厚 (数 nm) の評価に透過分光測定が使用できる可能性が示された.MLD-TDS の構築はまだできておらず,より良質なスピントロニック素子を作成して,レーザーカオス光励起のスピントロニック素子からのテラヘルツ波発生を目指したい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レーザーカオス光の光スペクトルの詳細な評価のために,広帯域かつ高分解能な分光計が必要であることがわかった.しかしながら,分解能と帯域,価格の三つの要素は互いにトレードオフの関係にあり,広い帯域と高い分解能の両方を同時に満足する分光計は,非常に高額である.円安などの影響により次年度に導入予定であった高分解能なファイバー分光器の入手が困難になる可能性がでたため高分解能・広帯域なフーリエ変換分光装置の構築を行う必要がでたため計画に遅れがでてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
現在,二色のレーザーの光混合効果を用いたスピントロニック素子からのテラヘルツ波発生の効率が悪いことが報告されているが,テラヘルツ波放射に適したスピントロニック素子の組成や構造はまだ確立されておらず,本研究も含め素子の最適化が望まれている.様々な成膜条件を試し,MLD-TDS に適したスピントロニック素子の作成を行っていく. 光源について,短時間ではモードが安定しているが,長時間ではモードホップにより安定しない通常の連続発振のレーザーより,短時間ではモードホップが激しく起こるため安定していないが,時間平均のスペクトルが安定しているレーザーカオス光の方が MLD-TDS の光源として優位性が高いと考えられる.研究の進捗の遅れは生じているが,研究の目的に向けて,レーザーカオス光に適したスピントロニック素子の作成を目指しながら,レーザーカオス光励起のスピントロニック素子からのテラヘルツ波発生を実現し,MLD-TDS の構築をするという基本的な研究推進方策に変更は必要ないと考えている.励起光源のレーザーカオス光の評価のため,高分解能なファイバー分光器の導入が困難である場合,高分解能・広帯域なフーリエ変換分光装置の改良・改善に移行する必要がでてきた.この装置に関しては,今後さらに改良を加え安価・簡便なレーザーカオス光の評価装置として確立させたい.
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